EV化の波が押し寄せるもののインフラや車種、価格面で課題
だが現時点では、EV化が十分進んでいるとは言い難い。日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した22年3月の燃料別販売台数(乗用車)では、ガソリン車が12万6830台で構成比44.6%、HV車の13万2602台(同46.6%)を合わせると、外部からの充電ができない車が9割を占めている。外部からの充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHV)は同1.2%、EVは同1.5%に留まっていることからもEV化がまだ進んでいない事が見て取れる。EV化が進んでいない理由として、そもそもラインナップが少ない、価格がエンジン車より高いことなどが顧客目線で挙げられるだろう。車種によっては価格差が200万円ほど開いているものもあり、補助金を活用しても、お手頃価格とは言えない。インフラ面でも喫緊の課題として充電設備が少ないことが挙げられる。年々増加していた充電設備は20年度に初めて減少に転じ、国内の充電設備設置数は2万9214基(21年3月)に留まる。EVシフトへの熱とは逆にインフラ整備が思うように進んでいない様子だ。政府は2030年までに公共用急速充電器を3万基に増やす目標を掲げているが、導入コストなどの問題もあり、広く普及させるには課題が山積する。
そうなると、ガソリン車やHV車などの既販車では、どのような車が環境に良いのか。国土交通省は3月末に2021年末時点での乗用車(ガソリン車、HV車などが対象)の燃費ランキングを公表し、普通・小型自動車部門では、トヨタの「ヤリス」が36.0㎞/L(WLTCモード燃費値)でトップだった。「アクア」、「プリウス」と続き、トヨタ車が5位までを独占した。軽自動車部門ではスズキの「アルト」とマツダの「キャロル」が25.8㎞/L(同)で同率で1位だった。軽では上位10位中、スズキ車が5台を占める結果となった。ガソリン価格が高騰している中、こういったランキングを参考にクルマ選びをするのも良いかもしれない。
では今後、EVの充電設備などのインフラが整ってからEVに乗り換えれば良いのか。実際にさまざまな報道などをみると、ガソリン車(HV車を含む)の燃費(ガソリン代)とEVの電費(電気代)を比べると、EVの方が安く済むというデータが多い。CO2を排出するガソリン車からEVに乗り換えると走行時のCO2排出量はゼロになる。この部分だけを聞くと「環境にも優しく、家計も助かる」。だが、そう単純に事は進まないというデータもある。