【国民年金の任意加入者】(約11万人)の場合:自営でも退職所得控除を活用できるメリットが

国民年金の任意加入者は、現在約11万人です。自営業者に「退職」はありませんが、iDeCoの活用によって、会社員と同様の「退職所得控除」が活用できるのは見逃せないメリットです。
「退職所得控除」は、前述のとおり企業型DCやiDeCoで「掛金を拠出していた期間」が対象となります。計算方法は、下記のとおりです。

期間が20年未満:40万円×年数(最低80万円)
期間が20年以上:800万円+70万円×(年数-20年)
※1年に満たない期間は繰り上げ

受け取った退職金から退職所得控除を引いた残りに2分の1をかけた金額が「退職所得」として課税対象となります。つまり、退職所得控除が支給金額よりも大きければ、退職金にかかる税金が発生しない、ということになります。

ケース①
〈職種〉自営業
〈年齢〉60歳
〈iDeCoの加入年齢〉52歳
〈60歳までの加入者期間〉7年10カ月
〈受給開始可能年齢〉62歳
〈退職所得控除〉40万円×8年=320万円

iDeCoの第1号加入者(自営業等の国民年金の第1号被保険者)は、2割の方が上限額に近い6万5,000円以上の掛金拠出をしています。掛金額が多い場合、個人別管理資産は退職所得控除を超えています。

そこで、受給開始可能年齢の62歳まで掛金拠出を続けると、80万円(40万円×2年)分、退職所得控除額を増やすことができます。

なお、退職所得控除の計算に用いるのは「加入者期間」のみのため、掛金額が下限の5,000円でも、上限の68,000円でも同じです。

ケース②
〈職種〉自営業
〈年齢〉61歳
〈60歳までの加入者期間〉0年

60歳からであってもiDeCo活用のメリットはあります。所得税・住民税の優遇を受けながら積立投資が行えるうえに、退職所得控除も活用できるためです。

退職所得控除額は、60歳超での加入者期間分×40万円となります。

ただし、60歳超で初めてDC加入者になる場合は、加入から5年経過しないと受給可能とならない点は、注意が必要です。

補足:【国民年金の任意加入】の条件は?
国民年金の任意加入には、下記の①~⑤のすべてを満たす必要があります。
①日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
②老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていない方
③20歳以上60歳未満までの保険料の納付月額が480月(40年)未満の方
④厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
⑤日本国籍を有しない方で、滞在理由・在留資格が「特定活動(医療滞在又は医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」ではない方
(65歳以上であっても、上記②~⑤に加え、年金の受給資格期間を満たしていない場合は70歳未満の方も任意加入者になれるが、iDeCoの加入可能年齢は現時点では65歳まで)
なお、企業を退職後、厚生年金保険や共済組合に加入していない方も、国民年金の加入期間が40年に足りない場合は、国民年金の任意加入が可能です。