企業活力研究所※2の調査によれば、シニアと若手・ミドルの間のコミュニケーションや協力関係について、「うまくいっている」と回答したシニア層は男性41.7%、女性50.0%であるのに対して、若手・ミドル層では、男性27.6%、女性35.2%とその意識に大きなズレが生じていることが明らかになっている。地位が逆転することへの抵抗感は、シニア層では2~3割であるのに対して、若手・ミドル層では6割にのぼっている。若手・ミドル層における抵抗感は、元上司であるシニアを部下にすることへの抵抗感(58.3%)と、年上であるシニアを部下とすることへの抵抗感(56.1%)と大きな差はない。同調査では、ミドルは若手と一緒にくくられているため、シニア・ミドルとくくると出てくるデータは少し異なると想像するが、シニア側よりも若手側により抵抗感があることがわかる。

コミュニケーションが良好な状態と一言でいっても、そこにはいろいろな要素があると考える。役職や年齢差を超えて、多様な価値観をお互い認め合いながら個々人が良好なコミュニケーションを築いていける組織風土の存在はもちろんのこと、会社として、若手とシニアの双方が不平不満をもつことがないよう、コミュニケーションの悪化を回避するための工夫も必要である。働き方をテーマにメンバーを変えながら、定期的に意見交換を実施する取組みも一案である。

パーソル総合研究所※3が行ったシニア従業員に対する不公平感に関する年代ごとの調査によると、「私の会社では、シニア社員が給料を貰いすぎていると思う」と感じるかという質問に対して、20代では30.0%、30代では27.6%、40代では20.1%、50代では15.9%、60代では12.8%という結果だった。また、「私の会社では、シニア社員が成果以上に評価されていると思う」と感じるかという質問に対しては、20代では29.7%、30代では26.5%、40代では18.3%、50代では15.9%、60代では11.9%となっている。若い世代ほど、シニア従業員に対して不公平感をもっているのである。同調査では、シニア従業員の疎外状況(組織内での孤立)や、仕事の不透明さが、若手の転職意向を高める影響もあると指摘している。シニアの働き方に課題がある職場は、そのシニアを日頃みている若手の不平不満が生じやすい。将来、自分がシニアになったときの不安を感じ、若手が転職するケースもゼロではないだろう。