念のため、国民年金の損得勘定を確認する

そうは言っても、今の高齢者は年金が「多い」とか、若い世代は将来の年金が「少ない」といった損得勘定が気になる人もいるかもしれません。ですから“あえて”ではありますが、国民年金の損得勘定を確認してみたいと思います。簡単な問題を作ってみましたので、少し考えてみてください。

【問題】
・20歳から60歳までの40年間、毎月、国民年金の保険料を納付し、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取りはじめるとします。令和4年度の保険料(月16,590円)と年金額(年777,800円)を前提とすると、何年で元が取れると言えるでしょうか?

いかがでしょうか? 計算できましたか? それでは一緒に確認してみましょう!

まずは国民年金の保険料、令和4年度分だと月16,590円になります。これが1年分だと、16,590円に12をかけて、19万9,080円。ざっくり1年で20万円になりますから、これが40年分だと保険料の累計は約800万円ですね。

この800万円、年金を何年間受け取れば、元が取れることになるのか。800万円を老齢基礎年金の満額、777,800円で割ればいいですよね。電卓で計算するまでもないかもしれませんが、10年とちょっとになると思います。

つまり、国民年金とは、40年間で払った保険料を10年間で取り戻す、そんな勘定になるのです。65歳から受け取りはじめると75歳くらいで元が取れる、ということですね。人生100年と言わないまでも、今でも平均寿命が男性で81歳、女性で87歳ですから、十分に元が取れる人が多い、そんなふうに言えるかと思います。

なぜ、こんなに割がいいのか、種明かしをすると、国民年金(基礎年金)は半分が税金で賄われているからです。逆に言えば、税金を払っているのであれば、ちゃんと基礎年金を受け取れるようにしないと、つまり、ちゃんと国民年金の保険料を納めないと損をしてしまう、そういうふうにも言えるのです。

ところで、学生納付特例、利用していましたか?

さて、20代で国民年金の保険料を払っていない人の一番多い理由は、「保険料が高いので、経済的に支払うのが困難」でした。そして、先ほど確認したように、国民年金の保険料は1年間で約20万円ですから、大学生の頃、勉学に勤しんだ皆さまにとっては、おいそれと払えるような金額ではなかったかもしれませんね。もちろん、親御さんに負担してもらう、という選択肢もあるかもしれませんが、それはご家庭の事情次第ですので、私から申し上げる話ではないですね(苦笑)。

でも、大学生の頃は「学生納付特例制度」があったことを覚えていらっしゃいますか? 所得が一定額以下の場合、申請したら保険料の納付を猶予してもらえる制度ですよね。どれくらいの学生が利用しているのか、確認してみましたのでご覧ください。

【ご参考】国民年金保険料の学生の納付状況※2
・学生納付特例制度:63.9%
・納付者:24.5%
・滞納者:9.0%
・その他:2.6%

※2 出所:厚生労働省年金局「令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要

いかがでしょうか? 学生の3人に2人くらいは「学生納付特例制度」を利用しているようですね。今、この記事を読んでいる20代の皆さまの中にも、「学生納付特例制度」を利用していた方がいるのではないでしょうか。そんな意識の高い皆さまにも、最後に一つ、忘れないで欲しいことをお伝えしましょう。