「金カム」がついに完結! 自社アプリで全話無料公開のワケは!?
今年の4月28日、8年に渡って連載を続けてきた人気漫画『ゴールデンカムイ』が最終回を迎えた。『ゴールデンカムイ』、通称「金カム」は、明治末期を舞台にアイヌの少女や元日本兵たちが金塊探しの戦いを繰り広げるサバイバルバトル漫画。アイヌ文化を詳しく描いたことでも話題になった。個性豊かなキャラクターが魅力のひとつで、アニメ化やキャラクターグッズ展開などもあり、熱狂的なファンを生んだ。最終回は、それぞれのファンたちに納得のいく終わり方だったようだ。
ところで、驚いたのは最終回に先駆け、4月7日から集英社が自社の漫画アプリサイト「ヤンジャン!」で全話を無料公開したことだ。作者が「より多くの人に読んでほしい」と願ったことから実現したそうだが、最終話についても雑誌掲載当日の28日は無料で閲覧可能に。さらに、この全話無料公開は5月8日まで延長された。単行本最終巻を売り切ってからの公開ならともかく、単行本未収録分まで一気に公開するこの手法は衝撃的だった。
とはいえ、「最終回前に漫画アプリで大量無料公開」という取り組み自体は、実は最近ではかなり定着している。一大ブームを巻き起こした『進撃の巨人』も、昨年4月の最終回前に講談社のアプリ「マガポケ」で23巻までを無料公開し、最終回もアプリ上で公開した。現在は、人気漫画『ちはやふる』も、やはり最終回を迎えるにあたり、「マガポケ」にて1~47巻まで無料公開している。
業界以外の人間は一体どこでマネタイズするのか?と思ってしまうが、これが結構うまくできていて、例えば前述の「金カム」でいえば、全314話もある長期連載を、4月7日から一カ月で一気に読むのは結構難しい。当然、無料期間内に読み切れない人は、単行本を購入、あるいは有料課金で続きを読みたくなってしまう、という感じで、版元にはメリットがあるようだ。
「金カム」や「進撃」ほどの大盤振る舞いではなくても、冒頭の数巻を電子コミックで試し読みしてもらい、継続の巻を有料で購入してもらうという手法はかなり一般化している。人気漫画であれば上手に次の話につないでいくので、読み始めた人は続きが気になって、ついつい有料部分まで読みたくなってしまう。電子コミックはクレジット決済などでカンタンに入手できることから、購入の敷居もグンと低くなるようだ。
さらに、こういった漫画アプリでは、「広告動画を見れば無料で閲覧可能」「広告を見てポイントを獲得すれば続きが読める」といった仕掛けが設けられており、広告でのマネタイズもできるようになっている。IT企業と提携し、漫画アプリ内の広告出稿プラットフォームを開発している版元もある。