他人任せの印象にじむ外部委託比率の高さ

このようにESG関連ファンドの本数は増えているものの、レポートの数字を見る限り、今ひとつ投資信託会社にESG運用への取り組みに対する本気度が感じられません。それはなぜでしょうか。理由は恐らく、「外部委託」の比率が高いことにあるように思えます。

調査対象となったESG関連ファンドのうち、アクティブ運用を行っているものの63%が外部委託を行っており、5%が投資助言を受けていました。加えて、一部外部委託というケースも4%あります。それらを合計すると、72%のESG関連ファンドが自社で運用していない、ということになります。ちなみに自社運用の比率は28%でした。

外部委託比率の高さは、投資信託会社のESG投資に対する底の浅さを露呈しているようなものです。

運用体制の構築も含め、自社で取り組むには手間がかかります。でも、運用を外部委託してしまえば、社外のリソースを用いて、手軽にESG関連ファンドを立ち上げ、昨今の時流に乗って販売実績を稼ぐことができます。

でも、それでは他人任せの印象が拭い去れません。現実問題として他人任せだからこそ、ESG専門人材を割くこともなく、ESG投資に対する基本的な考え方や取組状況を開示せず、運用プロセスにおけるESG要素の考慮方法に関する記載が抽象的になるのです。

「SDGsやESGが話題だから、それを名称に入れたファンドを手軽に立ち上げ、手数料や信託報酬を稼ごう」という、いささかよこしまな印象を受ける方も多いのではないでしょうか。