自営業だからこそできる、小規模企業共済の併用もおすすめ
角田家の場合、佳代子さんが個人事業主であるため、老後資金準備の選択肢に小規模企業共済が加わります。小規模企業共済は中小企業基盤整備機構が運営する、個人事業主や小規模企業経営者のための退職金制度です。毎月、個人で掛金を積立て、勇退時に一括または分割で退職金を受け取ります。毎月の掛金は全額所得控除の対象になり、受取時も控除が受けられます。小規模企業共済は加入年齢の上限がないため、佳代子さんは今からでも加入できます。ただし、加入期間が20年未満で解約すると元本割れになるため、注意が必要です。事業の廃業によって退職金を受け取る場合、元本割れしません。
小規模企業共済の節税効果
つみたてNISAと違いお金はあまり増えませんが、掛金が所得控除になる節税メリットは魅力です。
佳代子さんの課税所得金額(各種所得控除後の所得金額)が200万円だとして、長男卒業後の57歳から65歳まで小規模企業共済に毎月3万円を掛けたとします。
65歳で事業を廃止すると、掛金合計288万円に対して約305万円受け取れます。1年間の節税額は5万6900円です。元金36万円(毎月3万円×12カ月)を運用して、5万円以上の利益を安定的に出すのは難しいのではないでしょうか。小規模企業共済の節税効果は掛金を支払えば必ず得られるので、無理のない範囲でつみたてNISAと併用してもよいでしょう。