マネープランを切り口に楽しく読める終活漫画

主人公の山口鳴海は35歳、独身女性。マンションを購入し、美術館の学芸員として働いているが、アイドルの推し活に命をかけ、大して貯金もしていない。そんな鳴海が、キャリアウーマンだった伯母が風呂で孤独死をしたことをきっかけに、「おひとりさま」の老後について深く考えていくのが主なストーリーだ。

独身女性の物語というと、結婚する/しないや、親の介護の問題がテーマとなるイメージだが、この漫画が扱うテーマはそれだけではない。個人が自立して生きていくには、どんな備えが必要か?という根本的な命題に向き合うライフプラン漫画でもあるのだ。さらに、そのライフプランが従来の漫画のように、個人の感情や好き嫌いで語られているのではなく、客観的なデータで綴られていくのが大きな特徴だ。

物語は鳴海の行動やセリフに対して、同僚たちが具体的なデータを出しながら訂正していくという形で進む。漫画のストーリーを追いつつ、ノウハウものとしても読んでいけるコンテンツだ。

しかも、ライフプランの漫画なので、当然“お金”の話はついて回る。監修のドネリー美咲氏には金融機関やシンクタンクでの勤務経験があり、本作はマネーもののノウハウ漫画としても楽しめるようになっている。