米国個人投資家協会(AAII)が行っている週間調査で、今後6カ月の相場に「強気」と答えた割合から「弱気」の割合を引いた値が、2月9日まで6週連続でマイナスになったという記事が、2月15日付の日本経済新聞朝刊に掲載されました。つまり米国の個人投資家は弱気優勢という話。マイナスが続いた期間としては、2020年10月以来の長さで、弱気優勢の原因は、金融引き締めによる影響が懸念されていること。同協会が集計した個人投資家のコメントでは、「バリュー株や大型成長株へのリバランスを行っている」、「株には不利」といった声が上がっている、と報じています。

コロナ禍で伸びた個人の株取引が再び弱気に…

米国では新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、コロナ給付金を使って株式投資を行う個人が増えました。投資アプリ「ロビンフッド」のオンライン取引口座を利用して株式売買を行っている個人はロビンフッターと呼ばれるようになりました。また、ニューヨークタイムズの記事によると、パンデミックが始まる前の10年間、株式市場の売買における個人の比率は10%程度だったのが、コロナ禍では25%程度にまで伸びたということです。ビデオゲーム小売チェーンであるゲームストップ社の株価急騰も、大手機関投資家に対抗できるだけの力を個人投資家が示したことで注目されました。

S&P500は2020年3月23日に2237.40ポイントまで下落しました。新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響が懸念されたわけですが、その後、さまざまな給付金が支給されたのと同時に、FRBがゼロ金利政策と7000億ドル規模の量的金融緩和政策を講じたことによって株価は一気に反発し、2022年1月4日には4793.54ポイントの高値をつけました。この間、S&P500は増加率にして114.24%も上昇したことになります。

しかし、ここに来てインフレ懸念が強まったことから、FRBは量的金融緩和を停止するのと同時に、利上げを実施する方針を固めました。これまで株価上昇の根拠のひとつだった過剰流動性に期待できなくなったことで、S&P500は1月27日、4326.51ポイントまで下落しました。高値からの下落率は9.74%です。

ロビンフッターと呼ばれる個人投資家は、コロナ禍の中で市場に参加し、大きな利益を上げてきました。それが、この急落ですから、弱気優勢になるのも当然のことでしょう。企業価値に投資するのではなく、株価に投資してきた投資家は、この株価下落で先行きに対する期待が持てなくなってきています。