外資系運用会社で学んだ「投資は科学である」という投資哲学
転職した外資系の運用会社はとてもよい会社でした。「投資は科学である」という投資哲学をとても大事にしていて、人のジャッジメントを入れず、一貫したプロセス運用を行うのが特徴です。そして、お客さまのところで語るのは、運用成績ではなく、主に運用哲学や投資プロセスです。
運用成績に魅力を感じてお金を入れてきたお客さまは、運用成績が悪化すると離れていきます。でも、運用哲学に納得してお金を入れてくれたお客さまは、投資環境が悪化して運用成績が低迷しても、離れることはありません。
加えて(エリサ法のあるアメリカの会社だけあって)受託者責任の考え方が徹底していました。つまり、お客さまにとって最善なものは何かを考え、運用商品を組成するのです。運用会社にとって大事なのは、運用哲学と受託者責任であるということを、当時社長だった岡本和久さんから学びました。
しかし、その外資系運用会社も徐々に社風が変わっていきました。営業目標などの数字管理が厳しくなってきたのです。結果的に、お客さまに提案する商品も、例えばデリバティブを組み入れた金融商品なども増えていきました。そのなかで、日本に複数あるグループ運用会社の経営を統合するという話が浮上してきました。私はその統合プロジェクトのメンバーに任命されました。「このプロジェクトが終わったら会社を辞めよう」と考えていた私は、すべての処理を終えて、2008年1月に前職を辞めました。
取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)