運用期間がもたらす恩恵 ─ あなたはチャンスを得ています

前回、加入者の皆さんが「自分は具体的にどの商品を選べば良いか?」という質問に対して、仮に今「あなたはこれ!」と助言をもらったとしても、それは運用満期を迎えるまで適用できるものではないこと、そして様々な情勢によって変化する運用環境と併せて、ご自身のライフステージの変化もシンクロさせた運用が非常に重要だとお話しました。この“ライフステージの変化もシンクロさせる”とは一体どういった意味か、少しお話します。

今、皆さんは何歳でしょうか? 20~30代を中心とした若い世代の皆さんは、この先、結婚や出産・育児、マイホーム購入など、今後の人生において重要なイベントが控えている可能性が非常に高いと思います。逆にご自分の定年が視野に入ってきている皆さんは、定年後の豊かな人生(セカンドライフ)を過ごす術を考えている方も多いと思います。

DC運用満期を基軸にしてみると、若い世代は少なくとも20年以上の運用期間があり、40代や50代は20年を切っています。これを聞いて、特に若い世代の皆さんはどう感じたでしょうか? 「自分はまだそんなに運用しないといけないのか」と思った方には、「自分はまだそんなに運用出来るんだ」にぜひ意識を変えていただくことを強くおススメします。

なぜなら、DCは加入者自身で自分が将来受け取れる年金受給額を決めることが出来ますが、その額が大きければ大きいほど、運用期間が長い方が実現する確度は高くなるためで、そのチャンスを若い世代の皆さんは持っているということです。その視点でDCと向き合っていただければ、私がおススメする理由はご理解いただけると思います。

運用期間が長い若い加入者は有利

しかし、それを理解したら「さぁこれで安心」とはいきません。次に“チャンスを得ている”ことの一番重要なポイントである“年金を増やす”、これを理解・実行する必要があります。

利益(運用益)を多く獲得するには、利益率の大きい商品、すなわち投資信託商品の運用を積極的に行っていく(積極型の運用)ということですが、前回ご説明した通り、投資信託商品はリスク振り幅が大きいという特徴を持っており、山(上振れ)と谷(下振れ)が不規則ながら連動するのが一般的です。

今申し上げた『不規則な連動』というのがポイントで、下振れしたものが次いつどのタイミングで上振れしてくるか、その兆候を基に予測出来ても、100%当てることは専門家でも非常に困難です。では専門的知識を持たない加入者の皆さんが、その不規則な連動に対して不安や心配を感じることなく、安心して運用するにはどうするか? それは下振れから上振れに変動するまでの時間を、運用の中で余裕を持って確保することが出来れば良いということ。すなわち運用期間が長い若い世代の加入者の皆さんはそれが出来るという訳です。

一般的なDC運用は、若い世代の時は積極型の運用を行い、世代が移り変わるのに合わせて適切に利益を確保していき、受給が見えてきた世代では運用全体を安定型(リスクの小さい商品=元本確保型)に移行させる運用が採用されています。「DCは長期運用なので、一度決めたらしばらく放置して良いと言われたが本当か?」とご質問いただくことが多々ありますが、長期運用の考え方としては正しいです。しかし、それは自分の年齢を踏まえ、その世代に見合った商品選択・運用が出来ていることが前提となります。そういった加入者のみが「放置して良い」という運用をして良いのです。