信頼できる資産運用アドバイザーを選ぶためには

――続いて2つ目のトピック、フォローアップの重要性についても教えてください。

「リスク性金融商品を購入した後、メインで利用している金融機関からフォローアップを受けたことはありますか」という質問に対して、「受けたことがない」と回答した方が6割を超えています。フォローアップとは、年に一度の健康診断や自動車の車検のようなもの。金融商品は価格が変動しますから、ライフプランの達成にふわしいパフォーマンスを出しているのか、場合によっては見直す必要があるのではないかといった点を定期的に確認する必要があるわけです。

さらに、実際に「フォローアップを受けたタイミング」についても聞いていますが、「保有商品の満期到来時」が2番目に多い結果となっています。けれども、満期到来時は金融機関にとって新たな商品提案で手数料が得られるチャンスですから、これをフォローアップと呼んでいいのか疑問です。

結果として、今回の調査でフォローアップに対価を払う価値を感じている方は3割程度にとどまっています。顧客のニーズと実態に乖離がある現状を考えると、当然と言えるかもしれません。しかし逆に言うと、ライフプランに沿った中長期の資産形成に資するフォローアップができれば、対価を払う人は潜在的に多くいるとも考えられます。

このフォローアップが重要である理由の1つに、「長期投資」が重要なキーワードになっていることが挙げられます。にもかかわらず、「当初、長期間保有するつもりであったのに、保有商品に評価益が出た際、思いがけず利益を確定させるために、保有商品を売却したことはありますか」という質問に対し、「売却したことがある」と回答した方は全体で45%、60代以上に限っては55%超に及びます。こうした方は、逆に大きく値下がりしたときには、怖くて売却してしまう可能性もあるでしょう。そもそも人は合理的な判断ができるとは限らないということですから、定期的なフォローアップが必要になるのです。

――金融業界においてはまだまだ「顧客本位」が実現されていないと感じました。資産運用で悩みをお持ちの方はどうすればいいのでしょうか?

信頼できる資産運用アドバイザーを見つけることだと思います。ここまでの内容を踏まえて、信頼できる資産運用アドバイザーに求められる条件を3つ挙げておきます。

①ライフプランに沿った中長期の資産形成に役立つ提案をしてくれる。
②その提案に沿った金融商品の購入を手伝ってくれる。
③売りっぱなしにしないでフォローアップしてくれる。

――では、信頼できる資産運用アドバイザーを見分けるためにはどうすればいいのでしょうか?

ポイントが4つあります。

①「ライフプランに沿った中長期の資産形成に関する提案をしてほしい」と求める。
あなたの家計や家族の状況などをヒアリングしたうえで提案してくれるかを確認しましょう。
②アドバイザーに転勤や異動があるか? ある場合のフォロー体制を確認する。
自分や家族のことまで理解してくれたアドバイザーが数年おきに異動になるのは不安ですから、こちらも確認しましょう。
③アドバイザーの業績評価体系を確認する。
基本的にアドバイザーと顧客は利益相反の関係にあります。顧客に利益が発生しようが、損失が発生しようが、取引によって手数料が発生する構造になっているわけですから。つまり、そうした手数料を重視した評価体系だと売り手都合の姿勢になりやすいのです。この質問によって、アドバイザーへの牽制効果が働くことも期待できます。
④提案された金融商品以外の選択肢を質問する。
メリット・デメリットをバランスよく説明してくれているかを確認しましょう。

これら4つの質問に対する回答にしっくりこない場合は、急いで契約する必要はないと思います。