2月に新ファンドの立ち上げへ。新たな挑戦をスタート
では、これから私は何をしていくのでしょうか。今日まで創り上げてきたセゾン投信ワールドは、個人の財産づくりは長期的な世界の経済成長にお金を乗せることで達成できる、という考え方に立脚したものでした。それを立証するために「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」という、キャラクターの異なる2本のグローバル投資型のファンドを設定し、今日まである程度の成果を上げてきました。
そして次のステージに立った時、私が考えたことは、グローバルではなくて「日本」でした。これが私にとって新しいチャレンジになります。日本人として生まれ、この地で生活してきた以上、私たちは少しでも良い日本を、後進の人たちに残していく義務があります。
そのための方法はいろいろあります。皆さんが働いていることも、少しでも良い日本の未来をつくるためにあります。環境保全や教育などの社会活動を行う人もいるでしょうし、政治の世界に入って、より良い日本をつくろうと考えている人もいます。
私は長年、資産運用の世界で働いてきました。その私が、日本の未来のために出来ることは何なのだろうか。そこで思いついたのが、日本の産業界を支える礎になろうということでした。産業界を支えるためには、お金が必要ですが、それと同時に、力強く応援する声も大事になってきます。単に「頑張れ、頑張れ」と励ますだけの応援ではありません。日本の産業界に、ある種の緊張感を持たせることができるような応援です。
それを実現するために、セゾン投信では「エンゲージメント(投資先企業との対話)」に主眼を置いた、新しい投資信託を立ち上げます。たくさんの企業に分散投資するのではなく、極めて限られた数の企業に投資して、投資先企業とのエンゲージメントを大事にしながら、より良い会社にしていくための応援団になります。新しい運用者にもジョインしてもらい、着々と準備を進めてきました。
その新ファンドが、2月1日に立ち上がります。私にとって、新しいチャレンジです。
今、セゾン投信には16万人のお客様がいらっしゃいます。そのお客さま一人一人と一緒に、自分たちの子々孫々に良い日本を残すための「投資」を行っていきたいと思います。お金は、その使い方で人となりが分かります。ただひたすらタンス預金を貯めても何もなりません。ただの死に金です。でも、お金をちゃんと世の中に送り出してあげれば、それはより良い社会を築くための血液になります。そういう投資を、皆で力を合わせて行っていきたいと思います。
(終わり)
取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)