急速に姿を消す確定給付型年金(ペンション)。一方でまれに破格のペンションを受給する人も…

「アメリカの年金ってどんな仕組みなんですか?」と聞かれることがあります。英語では年金はペンション(Pension)といいます。日本でペンションといえば、観光地にあるおしゃれな宿泊施設のことですよね。この二つはどうつながっているのだろうと以前より不思議でしたので、調べてみました。全国ペンション協議会のページに、「ペンション=Pensionとは年金を意味し、退職後に年金生活をする夫婦が、自宅の空き部屋を利用して旅行者を廉価で泊める宿泊施設を運営したのがその語源となっています」と書いてありました。

アメリカで、「He has a good pension.」というと、企業やお役所などに長く勤めたため、恵まれた年金が出るということを意味します。しかしながら、このペンション、ここ30年間くらいで急速に姿を消しました。大企業が軒並み確定給付型(ペンション)から確定拠出型(401(k)など。企業は企業負担分として決められた額を拠出するのみ。将来いくらもらえるかには関知しない)に乗り換えたからです。企業としては、運用を行って将来決まった額を給付しなければならない責任から解放されるわけで、この乗り換えはどんどん進み、今ではペンションは一部の公的団体を中心に残っているのみとなりました。

ペンションを残している団体であっても段階的に年金額などの縮小を行っており、たとえ同じ勤務先に努めていても、近頃働き始めた人は20年前に働き始めた人に比べてペンションの特典は小さくなっています。Good pensionとはよくいったもので、昔から働いていた人の中には驚くほどの年金をもらっている人がいます。個人情報管理が叫ばれる時代ですが、面白いことにアメリカでは公的機関が出すペンションの額は公的情報として扱われ、一般公開されています。ちょっと調べてみると、2021年ニューヨーク州で最も高い年金をもらっている人は、2015年にRoswell Park Cancer Instituteという州立病院を退職したShashikant Leleという人で、年金額は$436,536(年額)です。2021年カリフォルニア州で最も高い年金をもらった人は、2018年にCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)を退職したCurtis D Ishiiという人で、年金額は$424,290(年額)でした。月額400万円くらいの年金!まあ、昔ながらのペンションがある団体に30年、40年務めるとそういうこともあるということです。