ロールオーバーをした方がいい人、しない方がいい人
ここまで非課税期間終了時の選択肢を紹介してきた。利益を確定させるなら売却を選べばいいが、問題は運用を続ける場合。ロールオーバーと課税口座への移管のどちらかを選ぶ必要がある。
では、どのように判断すれば良いのか。ポイントとなるのは通常の投資判断同様、将来の値上がりが見込めるかどうかだ。
値上がりが期待できるならロールオーバーを
今後も値上がりが期待できるのであれば、ロールオーバーを選んだ方がよりNISAの非課税メリットを享受できる可能性が高い。
これは含み益が出ている場合だけでなく、含み損があるケースについても同様だ。
例えば、取得額120万円の金融商品が100万円に値下がりすると含み損は20万円。この時点で課税口座に移管した場合、前述の通り移管時の時価の100万円が譲渡益の計算基準となる。その後、120万円まで値戻りがあった場合、実質的な利益はないにもかかわらず値戻り分の20万円が課税対象となってしまう。ロールオーバーを選べばこうした事態を避けることも可能だ。
今後も値下がりしそうなら課税口座へ移管
一方、保有商品に値上がりが見込めないなら、課税口座に移すことを検討したい。
せっかくの非課税枠も、利益が出ないのであれば効果を発揮することができない。また、課税口座に移管することで、さらに値下がりしたタイミングで売却し、損益通算を行うこともできる。
簡単に説明すると、損益通算とは一定期間内に発生した利益と損失を相殺し、本来利益にかかるはずだった税金を減らすこと。NISA口座で発生した損失は損益通算の対象とならないため、今後も値下がりが続きそうなら節税対策として課税口座に移すのもアリだ。