受給者数は増え続けている

介護予防サービス及び介護サービスの受給者数を見ると、1年間の受給者数を合計した「年間累計受給者数」は平成29年から右肩上がりに増え続けています。1年間に一度でも受給した人数(実受給者数)は621万9000人です。

表1.受給者数の年次推移

1)「年間累計受給者数」は、各年度とも5月から翌年4月の各審査月の介護予防サービス又は介護サービス受給者数の合計である。
2)「年間実受給者数」は、各年度とも4月から翌年3月の1年間において一度でも介護予防サービス又は介護サービスを受給したことのある者の数であり、同一人が2回以上受給した場合は一人として計上している。ただし、当該期間中に被保険者番号の変更があった場合には、別受給者として計上している。

日本の総人口は1億2622万人(令和2年10月1日時点)ですから、人口の4.9%が何らかの介護予防サービス・介護サービスを受給していることになります。

受給者の約7割が女性である

介護予防サービス・介護サービスの受給者の内訳をみてみると、令和3年4月審査分においては、男性が163万6900人、女性が368万2900人となっており、女性が全体の69.2%を占めています(表2)。

表2.性別にみた認定者数・受給者数及び認定者数に占める受給者数の割合

 

さらに図1の棒グラフをみると、特に「75~79歳」以降で女性の受給者の伸びが大きくなっています。また、同じく図1の折れ線グラフ部分より人口に占める受給者数の割合に注目すると、高齢になるほど上昇していきます。年齢階層別に受給者割合を見ていくと、80~84歳では男性の21.7%、女性の15.2%、85~89歳では男性の43.0%、女性の28.4%、90~94歳では男性の64.3%、女性の46.4%となっています。

図1.65歳以上における性・年齢階級別にみた受給者数及び人口に占める受給者数の割合

注:性・年齢階級別人口に占める受給者割合(%) = 性・年齢階級別受給者数/性・年齢階級別人口×100
人口は、総務省統計局「人口推計 令和2年10月1日現在(平成27年国勢調査を基準とする推計値)」の総人口を使用した。

全体としては女性の受給者の方が7割と多いものの、年齢階層で区切って見ると、男女の平均寿命の差から、男性のほうが受給者割合の数値が高くなっています。いずれにしても、人生100年時代を迎えて平均寿命が延びていますが、高齢期になるほど介護のリスクは高まることが数字から読み取れます。

受給者一人当たり費用は増加傾向に

令和3年4月分の受給者一人当たり費用額は17万4900円。この金額は、保険給付額、公費負担額、利用者負担額をすべて合わせた金額のため、一般的な所得で介護保険の自己負担割合が1割の場合、1万7490円相当を負担すると考えられます。

表3より、平成29年以降の受給者一人当たり費用を見てみると、平成29年4月が16万400円だったのに対して、令和3年4月は17万4900円となっており、5年間で一人当たり1万4500円の増加となっています。個人負担で見た場合、1割負担の人でも自己負担が1カ月あたり1450円増えていることになります。

表3.受給者一人当たり費用額の年次推移

注:受給者一人当たり費用額= 費用額/受給者数 費用額とは審査月に原審査で決定された額であり、保険給付額、公費負担額及び利用者負担額(公費の本人負担額を含む)の合計額であ る。市区町村が直接支払う費用(償還払い)は含まない。

なお、介護予防サービスの費用は2万8400円(1割負担の場合2840円)ですが、介護サービスでは20万1700円(1割負担の場合2万170円)となっています。要支援よりも要介護、要介護1よりも要介護5と症状が進むほど、介護保険の利用限度額は増えますが、介護サービスの利用が増えるほど、利用者の自己負担分も増えていきます。

また、介護保険の自己負担額は、その人の所得によっても異なります。一般的な所得の場合、介護保険は要介護度に応じた限度額の範囲内であれば自己負担1割で介護(予防)サービスを受けられますが、それを超える所得がある場合には、介護保険の自己負担割合が2割負担もしくは3割負担となります。介護サービスの利用が増えるほど、自己負担が家計に重くのしかかってくるでしょう。