定年退職すると、「これからは第二の人生だ」と期待感が膨らむもの。実際に「長年の夢だった飲食店を開業したい」など、シニア起業する方が増えています。

しかし定年退職後の起業には思わぬ落とし穴があり、失敗事例が多い現実も。

今回は、定年退職後に長年の夢だったラーメン店を開業したものの、大失敗して退職金が失われてしまった定岡さん(仮名)の事例をもとに、シニア起業のリスクを見ていきましょう。

定岡さん(64歳・男性)のケース

長年の夢だったラーメン店

定岡さんは現役時代、旅行代理店に勤務するサラリーマンでした。無類のラーメン好きで、現役時代から連休の際には地方へ足を延ばして有名店巡りをしたり、旅行先でご当地ラーメンを食べたりするのが何よりの楽しみでした。

「定年退職して自由な時間ができたら、自分のラーメン店を開こう。地元の多くの人に美味しいラーメンを食べてもらって憩いの場を設けたい」と夢を描いていたのです。

コンサル業者へ相談して開業

定岡さんは60歳になると、雇用延長を希望せずに退職。受け取った退職金は約1500万円で、これを元手にラーメン店を開業しようと意気込みました。

ただ、お店を開業するには意外といろいろな手続きや準備が必要です。

物件を借り、備品を購入して搬入し、内装も整えなければなりません。飲食店営業許可や食品衛生責任者の取得も必要となります。

自分では何から手を付けてよいかわからないので、ネットでコンサル業者を探して相談。以下のような説明を受けました。

・コンサルタントはこれまでの知識や経験の蓄積があるから、客足を伸ばして経営を軌道に乗せる効果的な対策ができる

・素人には分からない物件の立地や内装の選び方もアドバイスできる

・飲食店営業許可などの行政手続きもサポートできる

・特別なつてがあり、懇意にしている業者から仕入れられるので、ラーメン製造に必要な備品や質のいい食材を安価で仕入れられる

定岡さんはすっかり納得して「それなら全部任せたい!」と思いました。

気になる費用を尋ねると「コンサル料は500万円です。でもお店が軌道に乗ったら売り上げが大きくなってすぐに回収できますし、コンサルがつくことで開業資金や運転資金も削減できるので全然高くない値段ですよ」とのこと。

定岡さんは「確かににその通りだ、この人にお願いしよう!」と考えて、契約しました。