20世紀になって年金制度は現在の姿に

20世紀になって日本も社会保障制度が整えられるようになり、本格的に公的年金制度が作られたのも20世紀になってからです。

まず、1940年に施行された船員保険で、船乗りの人のための業務外の年金が制度化されました。その後、第二次世界大戦中に労働者年金保険(民間の現業部門の男子労働者を対象)が作られ、これが厚生年金保険(非現業部門の男子労働者と女子労働者にも拡大)に改められました。その当時の保険料は戦費調達のためのものとなり、現在の制度とはまだ遠いものでしたが、第二次世界大戦後、会社員等向けの厚生年金保険制度は1954年に今の姿に近い制度に改められ、1961年に自営業者向けの国民年金が始まりました。また、公務員向けの共済年金制度も作られていくことになります。

そして、現在の制度(新法の制度)になったのが1986年で、ここで大規模な改正が行われ、国民年金は自営業、会社員、専業主婦を含めた全国民共通の基礎年金となり、厚生年金・共済年金は会社員・公務員のための上乗せ部分となりました(先述の船員保険の年金は厚生年金保険制度に統合)。新法の制度の中で、その後も支給開始年齢の引き上げ、マクロ経済スライドの導入、離婚時の年金分割制度の創設、被用者年金一元化など、何度も改正が行われています。

時代に合わせた改正が続く

2020年に成立した年金制度改正法により、2022年を迎えるとまた改正がされます。受給開始時期の拡大、60代前半の在職老齢年金制度基準額の見直し、厚生年金の適用拡大などが含まれ、長寿社会や高齢期の働き方を踏まえた改正が行われることになります。

このように改正が行われるその都度、年金制度は新しくなっていきます。ご自身やご家族の将来に向け、年金の受給条件や加入条件をしっかり把握しておくことが大切ですが、この「年金の日」が年金について考えるきっかけとなれば良いですね。

 

執筆/井内義典
よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員。専門分野は公的年金で、3000件を超える年金相談業務を経験。さらに、年金事務担当者・FP向けの教育研修、ウェブメディアや専門誌への記事執筆も行っている。横浜市を中心に首都圏で活動中。