年金は江戸時代にもあった!

ところで、日本の年金制度はいつが起源なのでしょうか。記録が残っている限りで、日本で初めて年金制度を導入したのは、江戸時代初期、会津藩の初代藩主・保科正之であると言われています。江戸幕府初代将軍・徳川家康の孫、2代将軍・徳川秀忠の子に当たる人物です。実は秀忠の「ご落胤」、つまり私生児であるとされ、保科氏に養育された人物です。

幕政や会津藩政に尽力した江戸時代初期の名君であるとされていますが、その藩政で、90歳以上の人に対し1日に玄米を5合ずつ支給したとのことです。金銭ではなく、米で支給されていましたが、身分や性別を問わずその対象となりました。これが日本で最初の年金であるとされています。

もちろん、90歳まで生きる人は、現在の平均余命からしても女性でようやく半数くらいというところ。江戸時代初期の当時では本当にごく一部の人だったでしょう(同時代の歴史上の人物を見ても、大僧正・天海、上田藩初代藩主・真田信之など限られた人物というところです。)。また、1日あたり5合の玄米が一律で支給されていたとなると、今の年金制度のように保険料を納めた期間に応じて支給額が決まる性質のものとは異なっています。

しかし、400年近くも前に高齢者向けの給付として現代に通じるような制度を作るのは先見の明があり、やはり名君と言われるだけのことはあるでしょう。