2014年度より、毎年11月30日は「11(いい)」「30(みらい)」ということから「年金の日」となっています。「国民1人ひとり、『ねんきんネット』等を活用しながら、高齢期の生活設計に思いを巡らす日」と位置付けられ、厚生労働省と民間の各団体で年金の日の取組みも行われています。今回は「年金の日」にあたって、年金制度の意味や歴史について取り上げます。
保険としての年金
日本の公的年金として全国民共通の国民年金制度があり、会社員・公務員等を対象とした厚生年金保険制度があります。公的年金は原則として保険の仕組みを採っています。「今後起こりうる、不確実なこと」について示す「リスク」という言葉があり、そのリスクへの備えが保険となりますが、公的年金制度は、現役で働けるときには被保険者として保険料を払い、将来あるいはいざという時に働けなくなって収入がなくなった際に、年金給付を受給する保険となります。
働けなくなる場合とは、たとえば高齢期を迎えた場合。最近は高齢期に働いている人も増えていますが、体力的に働けないこともあるでしょうし、たとえ元気でも高齢者向けの求人がなくて働くことができないこともあるでしょう。その際の保障となるのが老齢年金です。長寿国日本で、何歳まで生きるかが個々人にはわからず、長生きによって老後資金が足りなくなる不安もあるため、長生きがリスクであるとさえ考えられています。そのような働くことが出来ない中、貯蓄で生活するにもその貯蓄には限りがありますし、企業年金等の私的年金制度の年金も有期年金であることが多いでしょう。しかし、公的年金は終身で保障され、一生涯受給できますので、何歳まで生きても受給し続けることができます。長生きリスクへの備え、老後資金のベースとなります。
また、公的年金制度では、高齢期だけでなく、若くして年金を受け取ることもあります。突然の病気やケガで障害が残った場合は働くことが難しいこともあるでしょう。そのような場合に障害年金を受けることができます。また、一家の収入を支えていた大黒柱が亡くなった際に、遺された家族が働くことが難しい場合もあるため、その遺族に遺族年金が支給されます。
以上のように、リスクに備え、働いて収入を得られなくなるような保険事故が生じた際に給付を受ける仕組みが公的年金となります。保険料の未納が多いと年金額が少なくなったり、受給の資格を満たせなかったりすることがあります。将来やいざという時に備えて、日頃から保険料を納めておくことが大切でしょう。