農業者年金に入ると国民年金基金・iDeCoに入れない!

このように国民年金への上乗せとして農業者年金に加入すると保障が厚くなりますが、自営業者向けの上乗せの年金制度として、他に国民年金基金や個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)があります。

国民年金基金は自営業など国民年金第1号被保険者のための確定給付型制度で、加入して掛金を掛けると、将来年金が受給できます。その老齢年金には終身年金(A型、B型)と確定年金(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型)がありますが、1口目は終身年金を掛け、2口目以降は終身年金あるいは確定年金を掛けることができます。加入時の年齢、男女の別、給付の型によって掛金は異なります。

iDeCoは掛金を拠出し、自己責任で運用商品を選んで運用してその運用成果に基づいて将来老齢給付金(一時金または有期年金)などを受けることができます。運用が上手くいけば、受給額も増える一方、逆に元本割れを起こす可能性もあります。

しかし、農業者年金に入ると、国民年金基金に入ることもiDeCoに入ることもできません。いずれの上乗せ制度が良いか、比較検討の上、お決めになられるのがよろしいかと考えられます。

なお、第1号被保険者として国民年金基金とiDeCoは同時に加入することができますが、両者を合わせて月額6万8000円が掛金の上限となっています。また、いずれも節税効果がありますが、税法上、農業者年金と国民年金基金の保険料・掛金は社会保険料控除(佐藤さんの控除には、佐藤さんの加入分だけでなく生計を一にする奥様の加入分も含む)の対象であるのに対し、iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除(佐藤さんの控除は佐藤さんの加入分のみ)の対象となります。