前回(目からウロコのアクティブファンドvsインデックスファンド 1)からスタートしました本連載。今回は過去の運用成績でアクティブファンドとインデックスファンドを比較します。

  • 1.(過去) これまでの運用成績で比較する
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米国株を除き、国内外の株式/債券/REITでは概ねアクティブファンドが優位

最近のメディア報道を見ると、「大半のアクティブファンドはインデックスをアウトパフォームできない」といったコメントが目につきます。しかしながらその多くは根拠となるデータや調査結果を示していないようです。

また、データを示していても、アクティブファンド群に同種とは言えないような投資対象や方針を有するものが一括りにされていたり、逆に比較対象のインデックスに各ファンドが運用目標としているとは考えにくい一般的にはあまり用いられない市場指数が使われていたりしており、偏りのない公平な比較とはいえないデータが根拠で示されることも多数あります。 

さらに、アクティブファンドのリターンとしては信託報酬等のコスト控除後の基準価額ベースのリターンが用いられているのに、インデックス側にはコストが全く考慮されていないインデックス自体のリターンが比較対象として使われていることに、筆者は疑問を感じています。インデックスファンドといえども、ほんの一部の例外を除き、コストはゼロではありません。したがって投資家の皆様がインデックスファンドを選択されても、インデックス通りのリターンを享受することはほぼ不可能です。アクティブファンドのリターンと比較すべきは、インデックス自体のリターンではなく、投資家が選択可能なインデックスファンドのリターンであるべきでしょう。

上記の留意点を踏まえて、国内外の株式・債券・REITに投資するアクティブファンドとインデックスファンドの比較を行います。 

国内資産については、アクティブファンド並びにインデックスファンドともに相応の数の国内籍投資信託が運用されているため、分類の緻密さに定評がある野村総合研究所Fundmarkが公表している分類とデータを利用して、国内公募投資信託の比較を行います。なおファンドのリターンは基準価額ベースで計算されているため、アクティブファンドとインデックスファンドの信託報酬等のコストの差はすでに織り込まれている点にご留意ください。

ただし海外資産については、以下に述べる理由により、国内籍公募投資信託を対象にしては、国内資産と同様の精度での比較を行うことができません。そこで、海外の評価機関等による調査結果を利用します。本稿では米国籍ミューチュアルファンドを対象に米国モーニングスター社が実施し公表している比較分析結果から両者のリターン差を確認します。なお、こちらのデータでも運用報酬などの直接コストの差はすでに反映されている点にご留意ください。