資産運用を実行するために、特に長期投資と分散投資を徹底するには、投資信託はとても便利な商品です。iDeCoを含む確定拠出年金やNISA及びつみたてNISAが普及していく中で、その中の有力な運用商品として投資信託もその投資家の裾野を広げています。しかしながら、その数約6,000本に及ぶ選択肢の中から、ご自身のお考えに適した投資信託を的確に選び、かつ運用成果に繋げるのは容易ではありません。
私は、「投資信託の評価」という言葉もあまり聞かれなかった25年前の1996年に、大手証券会社グループの中で投資信託の分析評価を行うチームを立ち上げ、その分析評価力を強化させながら、お客様の運用成果に結びつける実績を残してきました。このコーナーではこれから数回にわたり、私が考える投資成果に繋げるための「投資信託選びのポイント」をお話ししたいと思います。その中には、世の中で広く信じられていることと異なる点も多くあると思います。読まれている皆様の中に、
「アクティブファンドではインデックスに勝てないので、インデックスファンドでしかもコストの一番安いものを選びます。」
「投資信託を選ぶには過去の実績がもっとも重要だと考えます。ですからパフォーマンスの優れたものを選びます。」
「自分で評価をするのは難しいので、評価機関の評価結果の良いものから選びます。」
と思われている方がいらっしゃるようであれば、是非とも読んでいただければと思います。
投資信託選びの最初のポイントとして、本稿から4回に分けてアクティブファンドとインデックスファンドを様々な角度から比較します。
「インデックスに勝っていない」だけで選んでよいのか
資産運用において投資信託を利用する際には、アクティブファンドとインデックスファンドのいずれかを選ぶことになりますが、これはなかなか悩ましい選択です。最近では、過去のリターンでは大半のアクティブファンドはインデックスに勝てていないとの理由で、インデックスファンドを選択する方が賢明であるとの意見が優勢なようです。
しかしながら、本当にそのように考えて良いでしょうか?
投資信託はあくまでも資産運用を行うための便利な道具にすぎません。良い道具を選ぶためには、その利用目的がはっきりしなければ、選ぶことはできません。「どれが一番良いペンですか?」との問いには、まず「何を書くのか?」がわからなければお薦めすることはできません。
「アクティブファンドとインデックスファンドとどちらが良いか?」をお考えいただく前に、「どのような資産運用や投資を行うか?」を考え、投資の基本方針を決めていただく必要があります。