既存の金融機関からは独立した立場で、中立的な金融アドバイスを行う存在として、ますます注目が高まるIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)。今回はファイナンシャルプランニングを軸とするビジネスモデルが支持されて急成長を遂げている、フィナンシャルクリエイトの代表取締役である髙塚大弘氏にインタビューした。

「金融業界は信用ならない」が出発点

「金融業界を変える」。代表の髙塚大弘氏がこのビジョンを掲げて2011年に27歳で創業したフィナンシャルクリエイトは、ファイナンシャルプランニングを軸とするビジネスモデルが支持されて急成長を遂げ、創業10年目を迎えたIFA法人だ。

髙塚 大弘 氏

創業の原点は、髙塚氏の学生時代にさかのぼる。気象予報士で、人気テレビ番組のお天気キャスターを務める髙塚徹彦氏を父に持ち、自らもマスコミを志望して早稲田大学では放送研究会に所属した。

金融業界に興味を持ったのは、卒業論文のテーマ候補の1つで、金融業界について研究したことがきっかけだったと髙塚氏は話す。「亡き母が生前、がんを患った際の給付金支払いを巡って保険会社とトラブルになったことや、資産家である祖父母の地方銀行の担当者が、相続人というだけで学生だった私に媚びてくる姿を目の当たりにして、金融業界は信用ならないというイメージを持っていました」。

金融業界の中では保険が一番分かりやすいように感じたため、まずは保険商品について徹底的に学ぶことから始めた。その知識をたまたま親戚の集まりで披露すると、学生にもかかわらず保険見直しに関するアドバイスを求められた。「証書を見せてもらってごく簡単なアドバイスをしただけなのに、『そんなこと全然知らなかった』とすごく喜んでもらえたのは新鮮な体験でした。保険は多くの人が加入する身近な存在であるにもかかわらず、業者とユーザーの間の情報格差が大きすぎて、適切な商品を選択できている人は少ない。ですからそのコンサルティングには、大きなニーズがあると感じました」。

そこで、就職の志望先をマスコミから保険業界に変更。保険会社では自社の商品しか販売できないため、大手の乗合保険代理店を就職先に選んだ。「家族には大反対されましたが、歴史のある大企業ではないからこそ、若い自分にも何かを変えられると思ったんです」と髙塚氏は振り返る。

ところが、入社後に配属されたのは、外資系の保険会社の名称が冠された事業部。隣には別の保険会社の事業部もあった。与えられたミッションは、その外資系保険会社の商品を販売することであり、複数の保険会社の商品から、目の前の顧客に最も適した商品を選ぶというコンサルティングが許される環境ではなかった。

それでも営業成績はトップ。入社からわずか3カ月で係長に昇進したが、やはり「自分がやりたかったのはこれではない」と感じて程なく退社したという。その後の2年間は映像制作会社を立ち上げて経営する一方、金融コンサルティングの分野で起業する構想を練り、2011年、中学校の同級生で大学も同じだった髙橋正至氏とともにフィナンシャルクリエイトを創業した。

創業当時、2人が最も重視していたのがファイナンシャルプランニングだ。人生100年時代を迎えた今、顧客に適切なアドバイスを提供するためには、まず家計の状況を把握・分析した上で詳細にシミュレーションを行い、問題点を発見する必要がある。特定の金融商品の販売が前提となっていては、顧客本位のコンサルティングはできない。「ファイナンシャルプランそのものは保険会社が提供してくれるシミュレーションツールで作成できますが、結局は保険の販売に誘導されてしまう形になっている。そこで、100歳までの家計の収支を詳細にシミュレーションできる、オリジナルのツールを作成したのです」(髙塚氏)。