注目を集めるESG関連投信

個別に2021年上半期に資金流入が大きかった投信、つまり売れた投信をみても、ほぼ外国株式投信一色であった。実際に一般販売されている投信で2021年上半期に資金流入が1,000億円あった投信が14本あったが、そのうち12本(太字)が外国株式投信であったことからもそのことが分かる【図表2】。12本のうちアクティブ型が9本、インデックス型(赤太字)が3本であった。

 

図表2: 2021年上半期に1,000億円以上の資金流入があった投信

(出所)Morningstar Directより筆者作成。ETFとSMA・DC専用投信は除く。
流入金額が大きい順。なお、純資産総額は2021年7月末時点

 

 

まず、売れたアクティブ型の外国株式投信について詳しく見ていくと9本中、6本(緑太字、青太字)が特定の産業等の投資テーマに注目して銘柄選定をする、いわゆるテーマ型投信であった。以前から個人投資家の人気が高いテーマ型投信ではあるが、やはり2021年に入ってもその人気は継続していたといえよう。さらに2021年上半期はハイテク系のテーマ型投信(青太字)に加えて、2020年後半以降に新規設定されたESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)に注目した投信(緑太字:以後、ESG関連投信)も人気を集めた。

2020年後半から人気を集めるようになったESG関連投信ではあるが、実はその投資手法は様々である。2021年上半期に人気を集めた3本のうち「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」と「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド」はテーマに沿った銘柄選択をしている、まさにテーマ型投信である。

それに対して「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」は、あくまでもESGも考慮して銘柄選択(一般的にESGインテグレーションなどと呼ばれる)を行っている投信である。なお、ESGインテグレーションの投信はテーマ型投信というより、どちらかというと通常のアクティブ運用を行っている投信といった方が正しい。ただ、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」は、個人投資家がESG(というある意味、投資テーマ)に注目して購入している可能性が高いため、ここではテーマ型投信として扱った。

今後、ESGが投信市場において一過性のブームで終わらず定着していていくのかと合わせて、どのような投資手法が投信市場で定着していくのかにも注目していきたい。