夫はロボアドで利益が出ているのに、相談者は損失を抱えている理由

ロボアドとは、ロボットアドバイザーの略でお金を預ければ、自動運用型であればAIがお任せで運用してくれるサービスです。自分自身で運用商品を選ぶ必要はありませんから、運用初心者でも手軽に始められると利用者は増えています。

近藤さんご夫婦も「簡単そうだったから」という理由で2年前から始められたそうですね。確かにロボアドは数ステップで手続きが終わり、マーケットや投資への専門的知識がなくても、運用が始められるよう工夫されています。

ところが、由里さんは運用開始後、利益が出ていないと言います。一方、ご主人の和樹さんは同時期に始めたにもかかわらず、利益が出ています。この差は何なのでしょう。まずロボアドは、最初にいくつかの質問に答え、その回答に合わせたリスク許容度で運用方法が決まります。和樹さんと由里さんのリスク許容度は違うため、運用内容は異なりますが、原因はおそらくそれではありません。

和樹さんはスタート時期から積み立てをしていたのですが、由里さんは最初に100万円一括投資をしていたことが差につながったと考えられます。一括投資の場合、タイミングが非常に重要です。しかし、2年前というタイミングから察するに当時上昇を続けている株価の波の中、高い金額の時に一括投資をしてしまっていたのだと考えられます。その後、購入した資産は下がってしまい、お悩みの“利益が出ていない”という事態に……。つまり、和樹さんと由里さんの利益の出方の違いは、購入方法にあったのです。

これは、積み立てと一括投資の違いや特徴を十分に理解していないために起きた失敗といえます。ロボアド投資に限らず、相場の底や天井を当てることは非常に難しいこと、それゆえ初心者には、一括投資は難しく、タイミングに左右されない積立購入がおすすめであることをぜひ学んでいただければと思います。

積み立てなら、毎月一定額で運用商品を購入しますから、商品が安い時にはたくさん買い、高い時には少ししか買いません。この仕組みがあるからこそ、平均取得単価を下げられ、価格が上昇した時に、利益が出る効果を発揮します(ドル・コスト平均法と言われています)。由里さんには、この仕組みを理解し、積み立てを続けていく重要性を認識していただければと思います。