最初の改革ではアナリスト評価を導入
一度目の改革は2011年で、米国モーニングスター社はそれまでの5つ星のスター評価に加えて、Gold、Bronze、Silver、Neutral、Negativeの5段階で表されるアナリスト評価の併用を始めました。その名の通り、アナリストがファンドに対して評価を行うもので、ほかの同類のファンドより業績があげられる資質や、インデックスファンドであればそのベンチマークに比較し、良い業績があげられる傾向など、ファンドの質的内容を問います。評価基準には5つの柱があり、それらは、People(ファンドマネージャーの能力・適正)、Parent(ファンド会社のビジネス傾向)、Process(ファンド運用プロセス)、Performance(業績)、Price(手数料などを含む値)です。
スター評価だけでファンドの正しい評価ができるのならこの改革はなかったと思います。星の数を見て、「これは良いファンドだから投資しよう」と判断しても、その後その評価に見合う成績が必ずしも実現しないケースが、無視できないレベルで存在したということだと思います。
そして、その反対の例もあったと思います。実際、多くのリサーチにおいて過去成績と将来成績の相関の無さについて様々な結果が出ています。バンガード社のホワイトペーパーでは、「いかに過去業績ランキングが将来のパフォーマンス予想の当てにならないか」について取り扱ったものがいくつか出版されています。
その一つでは、ある5年間でトップ20%だったファンドのうち、次の5年間でボトム20%になるか、成績不振で消滅してしまったファンドは46.6%に上ったと報告しています。過去のパフォーマンスを根拠にファンド選びをすることのむなしさを物語っています。
2011年に新しく導入されたアナリスト評価は、面と向かってのファンドマネージャーとのインタビューなども含まれ、過去の数字だけに頼るスター評価に比較して、より多くの包括的かつ質的情報を吟味します。
ファンドやファンド会社の質的評価を含み、今後このファンドが良い成績を収められそうかを判断するために役立つ、未来予想型の評価システムとして導入されたのです。
これにより、過去数年間、たまたま調子が良かった特定業種のセグメントファンドにばかり焦点を当てがちだったシステムから、きちんとした投資哲学と体制によって低手数料で地道に運営されているファンドにも正当な評価がされるシステムになったと感じます。
これは、ここ10年余りの間アメリカの投資業界で着実に進んできた、アクティブファンドからインデックスファンドへの潮流の変化を裏打ちするものでもあるように思います。