自営業者として働く上での節税は?
次に節税する方法はあるのか? という点です。節税と言いましても、今の佐野さんはご主人の扶養範囲内ですので納税をしていません。よって節税するものがありませんので、現時点では節税はありません。今回は、今後多くの収入を得ることを前提として、節税について次の2つの方法を見ていきましょう。
青色申告をする
確定申告で「青色申告」という方法を選べば、基礎控除額48万円に加え、青色申告特別控除55万円(2020年以降はe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存のいずれかを行うと65万円)が受けられます。これを行うと、103万円(e-Taxの場合は113万円)まで、ご主人の税金を増やさずに節税できます。
節税ではありませんが、社会保険料については、ご主人の加入している社会保険により青色申告をした時の経費として認定される費用が変わってきます。つまり、自分では130万円未満にしたと思っていても、社会保険料計算上の経費として認められないため、扶養には入れていない場合があるということです。その点はご主人の社会保険組合に確認が必要です。
さらに収入が増えた場合は2つの制度を利用する
この方法は、佐野さんの税金を減らすことができる方法です。
iDeCo
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことを言います。自分の収入から拠出した掛金を、自分で運用し、自分で老後の資産形成する年金制度です。60歳になるまで積立をし(拠出時)、それを運用していき(運用時)、60歳以降に老齢給付金(受取時)を受け取ります。
iDeCoは、その拠出時、運用時、受取時と3つの税制優遇を受けることができます。拠出時の税制優遇を考えると、所得税を支払っている人は、一番低い人でも所得税5%+住民税10%の15%の税金が節税されることになります。家計で考えると、利益が15%出ることと同じ効果になります。ご主人とお二人で加入するのもいいでしょう。
なお、投資信託で運用する場合は海外企業の成長を享受できる海外株式に投資するファンド、さらに分散させるために、海外債券に投資するファンドを組み合わせるとよいでしょう。
小規模企業共済
二つ目は、中小機構が運営する小規模企業共済制度です。小規模事業共済制度とは、小規模企業の経営者や個人事業主などのための退職金制度です。この制度も、掛金が全額所得控除され、所得税と住民税の節税ができます。しかも、廃業するときの共済金A、老齢給付として受け取る共済金Bなどの受け取り方法があり、「お金を殖やす」という観点から考えると、共済金Aの方が多く受け取ることが可能です。
その他
それでもまだ余裕があるのであれば、生命保険料控除を使ったり、ふるさと納税を利用するということも考えましょう。