勤め人も加入OKになり、iDeCoの「年金受け取り」は増える見込み

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は税制メリットがとても大きい制度で、掛け金を拠出するときだけでなく、受け取るときも、一時金だと退職所得控除、年金だと公的年金等控除という税金の負担を減らす仕組みがあります。現状では一時金を選ぶ人が圧倒的に多く、なんと89%の人がiDeCoを一時金で受け取っています(厚生労働省社会保障審議会企業年金・個人年金部会 参考資料1「企業年金・個人年金制度の現状等について」P20(2020年9月30日)より)。

なぜこんなに一時金を選ぶ人が多いのか? 税制の違いを指摘する向きもありますが、私は「いま、iDeCoを受け取る人のほとんどを自営業者か企業年金のない会社員が占めているから」という理由もあると思います。退職金代わりにiDeCoを利用していた人たちが、今、一時金で受け取っているというわけです。

しかし、公務員や企業年金のある会社員も、2017年からiDeCoを利用できるようになりました。退職金は別にあるので、これを機にiDeCoを始める人たちの目的は、60歳以降の給料や公的年金の補てんという意味合いが強いでしょう。ですから、今後はiDeCoを年金で受け取る人が徐々に増えると思います。

iDeCoを年金で受け取るときは、「取り崩しながら運用する」ことが必要になります。でも、今時点では年金で受け取る人が少ないので、セミナーで説明することはあまりなく、セミナーが終わった後にたまに紹介することがある程度です。

この「取り崩しながら運用する」とはどういうことなのか? セミナー終了後の個別質問のシチュエーションでご説明しましょう。それはまだ「流行っていない」考え方ですが、iDeCoを年金で受け取る人が増えるにつれ、徐々に広まっていくはずです。

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