日銀とは違い、FRBは「マイナス金利政策」には否定的?
冒頭でも触れた通り、新型コロナウイルスの感染拡大から米国の経済を守るため、FRBは2020年3月に約4年ぶりとなるゼロ金利政策を始めた。つまり、リーマン・ショック時の対応と同様の政策を行ったわけだ。
その後、第45代大統領のトランプ氏がさらに経済を押し上げようと、日銀が実施しているマイナス金利政策の導入をFRBに求めた。ところがパウエル議長の返答は「適切ではない」と、2016年1月から導入している日本とは対象的に、マイナス金利政策に強く反対した。
そもそもマイナス金利政策とは、各銀行が中央銀行にお金を預ける際の金利(政策金利)をマイナスにするという政策。つまり銀行は中央銀行にお金を預けると逆に金利を取られるため、企業や個人に積極的に貸し出すようになるというわけだ。
企業などがお金を借りやすくなるゼロ金利政策と同様、仕組みを聞けば、効果的なコロナ対策のように思えるかもしれない。しかし、通常時には実施しない異例の政策のため、やはり問題点もある。
特に心配されるのが、銀行の経営が悪化することだと言われている。マイナス金利を導入すれば、企業への貸出金利や個人の住宅ローン金利なども下がるため、資金繰りに苦しむ企業や個人は助かる。しかし銀行にとっては、貸出金利が大きく下がってしまえば当然、収益は減るわけだ。
マイナス金利政策を採用している日本では、すでに深刻な影響も表れていると言う。日本経済新聞によると、収益の悪化で全国の地方銀行と第二地方銀行は、約2割の銀行が支店を縮小するそうだ。マイナス金利が長引けば、特に地方の金融機関から経営が悪化していくと言われる。銀行の経営が悪化した結果、企業や個人への貸し出しはいずれ滞ってしまうかもしれない。