ESG・SDGsへの取り組みが就活の判断材料になる時代
最近の若者は、環境や社会問題への関心が高い、という話をよく耳にします。本調査によれば、環境問題や社会課題に取り組んでいる企業で働く意欲がある若者は、全体で47.2%であり、男子で42.6%、女子で51.8%であることが明らかになっており、その関心の高さはキャリア形成の側面にも表れています。
学生別では、大学生が55.3%と最も高く、高校生(51.3%)、中学生(32.3%)と続いており、年齢が上がるに従ってそのような意欲が強くなることが分かります。実際に将来の仕事を真剣に考える年齢が近付くにつれて、環境問題や社会課題への関心が高まるのでしょう。
自由記述では、環境問題や社会問題に取り組む企業に関する意見が多く寄せられていました。
先ほど、若者が企業で働くイメージとして「高い給料ややりがいのいずれをも得られない」と感じている現状について述べました。だからこそ、環境問題や社会問題に取り組む企業に勤め得れば、自分が社会や企業をより良くすることに参画できる、あるいは、やりがいのある仕事ができる、という期待もあるのだと想像します。
以前、ESGの取り組みに関する取材のために往訪した企業の方からは、学生から面接官に対して、その企業の環境問題や社会問題に関する取り組みや姿勢について質問が出た、という話をお聞きしたことがあり、学生の方々が就職の際に、企業の環境問題や社会問題に対する姿勢も就職活動の判断材料にする時代が来たのだと感じたことがあります。
企業が環境問題や社会問題に取り組むことは、より良い社会づくりにつながるだけではなく、優秀な若者の採用や、採用した若者の意欲の維持・向上のためにも必要なことだと言えるでしょう。
最近では、企業のESGの取り組みの重要性が投資家をはじめ、さまざまなステークホルダーから求められています。ESGのS、Society(社会)の中には働く人への配慮が含まれますが、働く人に手厚くすることは一見コストのように受け取られることがあります。しかし、長期的な視点で見れば、多くの企業が働く人に配慮することは、働く人の労働意欲を向上させ、企業の価値を上げることにもつながると言われています。
特に、現在のコロナ禍においては、働き方やキャリアの在り方にもさまざまな変化が求められています。大きな変化を求められるタイミングであるからこそ、企業の側も、大人だけではなく、改めて将来の働き手である若者に対する感度を高め、若者から求められる企業(あるいは、若者が働きたいと思える企業)へと変化していくことが期待されます。