身近でも意外に「為替」が影響している
「為替」は英語で「exchange」と訳される。つまり、為替には「交換する」という意味があるわけだ。
これを踏まえたうえで、経済ニュースで取り扱われる為替とは、異なる国と国の間で「お金を交換すること」を指す。そしてお金を交換するとき、互いの通貨の価値が「為替相場」で決まる。為替相場によって、例えば日本の「円」がアメリカの「ドル」に対してどのくらいの価値があるのかが決まるわけだ。
海外旅行に行くと、普段所持している日本円を、そのまま現地で使用することはできない。必ず現地のお金に両替する必要があるはずだ。この両替時に、例えば1000円は何ドルに交換できるのかが為替相場によって決まる。
注意が必要なのは、為替相場の上がり下がりは通常のモノの値段とは逆だという点だ。例えば冒頭で、円相場が一時1ドル=112円台から瞬間的に101円台へと「高騰」という表現を使った。112円から101円へと金額が推移したら、モノの価値だと「値段が下がった」と言えるわけだが、為替相場においては「値段が上がった」となる。
1ドルを手に入れるために必要な日本円が112円から101円へと減る、つまりはより少ない円で1ドルと交換できるようになったわけだから、よくよく考えると円の価値が上がったわけだ。ただ、数字は112円から101円に減ったのに、為替相場では円の価値が上がった(円高)と考える点には多少の慣れが必要だろう。
なお外国為替相場(外為相場)も、ここまで紹介した為替相場と同じ意味だ。記事によって「外国」は略されるケースが多い。また為替相場と「為替市場」という言葉が混在するケースもあるが、本来は「市場」がお金を交換する場で、「相場」は市場でついた値段と言える。
ここまで、経済ニュースで登場する「為替」の意味について紹介してきたが、この言葉にはもう1つの意味があることも知っておきたい。
例えばクレジットカードを使って買い物をすると、直接現金の受け渡しは行わないものの、買った金額が翌月などに銀行から自動で引き落とされる。これも、為替の一種だ。クレジットカードで支払うと、その人の持つ銀行口座から、商品を販売している業者の口座へとお金が移動する。このように直接現金を送る・渡すことなく、銀行などを介してある口座から別の口座へお金が移動する仕組みも、為替と言われる。
とはいえ基本的に経済ニュースでよく耳にする為替相場の「為替」については、異なる国同士の通貨を交換する意味があると覚えておこう。