マスコミ、野党、金融機関……公的年金不安を煽る人たち


公的年金については、どうも何かと印象が良くありません。この理由は今まで散々、マスコミや金融機関や野党が「年金制度はあてにならない」という間違ったインフォメーションを流し続けてきたせいなのですが、どうやら最近は少し様子が変わってきたようです。

事実、マスコミの論調は少し変わってきています。例えば7月初めにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2019年度の第4四半期の運用結果を発表しました。第4四半期というのは今年の1~3月ですが、この期間の運用損は17.7兆円、そして昨年度のマイナスは8.3兆円超という結果が出ています。

でもこれは当たり前です。なぜなら日米共に株価は2月から3月にかけて、コロナショックとも言うべき大幅な下落となったからです。実際に米国のNYダウや日本の日経平均株価の下落率を見てみると20~23%となっていますから、その期間だけを取ってみれば大きくマイナスになるのは当たり前で、これはリーマンショック時にも同じようなことが起きました。ところが長期的に見ると、この18年間の間にGPIFが運用する年金積立金は50兆円以上も利益をあげて増加しているのです。

以前なら短期間での損失が出ると、マスコミが大きく報道し、「我々の年金は一体どうなるのだ!」と言って大いに不安を煽ったものですが、今回は事実だけの報道で、それほど不安を煽るものではありませんでした。

また野党もかつては年金を題材にして政府を攻撃すれば支持を得ることができるという成功体験に基づき、年金であれば何でも反対としていたものが、この5月29日に成立した「年金改革法」では共産党を除く全ての与野党が一致して賛成に回ったのです。やはり一般の人の年金に対する理解が以前に比べて進みつつあるということなのでしょう。

問題は金融機関です。いや、問題は金融機関自体がネガティブなのではなく、金融機関の営業マンが公的年金についてあまりにも知識がなさ過ぎるために、「年金なんかあてにならないから投信や保険を買いましょう」と勧めていることです。