NISAの普及で投資信託は身近になった。しかし、どの商品が自分に合っているのかを見極めるのは難しい。長期投資家に支持される投資信託にはどんな魅力があり、またなぜ支持されているのか。ここでは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型」、愛称「オルカン高配当」について紹介する。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」=「オルカン」といえば、いまや誰もが知っている積立投資のメインプレイヤー的存在だ。その「オルカン」で、さらに配当を出すファンドということは、どんな位置づけになるのだろうか。今までの「オルカン」との違いは? その特徴を紐解いてみた。
世界中の高配当株に分散しながら、年4回の分配をめざす
「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型」は、世界各国の高配当株に分散投資し、定期的なキャッシュフローを受け取れる仕組みを備えたインデックスファンドだ。
2026年9月30日に設定された世界株式ファンドで、主に「海外高配当利回り株インデックスマザーファンド」と「日本高配当利回り株インデックスマザーファンド」を通じ、日本を含む先進国・新興国の株式等へ実質的に投資する。純資産総額は2026年10月5日現在で21.50億円となっている。
連動をめざすのは、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数(配当込み、円換算ベース)」だ。
この指数は、先進国と新興国の大型株・中型株で構成される「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」を親指数とし、その中から高配当株を選別している。2026年9月末時点で対象は先進国23カ国・地域と新興国24カ国・地域に及び、構成銘柄数は692銘柄である。
ただし、単純に配当利回りの高い銘柄を集めているわけではない。REITを除いた親指数の構成銘柄に対し、配当の持続性や成長性、財務品質、過去の株価パフォーマンスなどの基準を適用。そのうえで、配当利回りが親指数の1.3倍以上となる銘柄を採用する。
例えば、配当性向が極端に高い企業や、過去5年間の1株当たり配当の成長率がマイナスとなっている企業などは原則として除外される。財務品質についても、自己資本利益率(ROE)、利益の安定性、負債比率などを用いて確認する仕組みだ。高い利回りだけでなく、配当を継続できる可能性にも目を向けている点が、この指数の特徴といえる。
指数の構成銘柄は、浮動株調整後の時価総額を基準に配分され、特定企業への集中を抑えるため、指数見直し時に1発行体当たりの比率を原則5%までに制限する。2026年8月末時点の上位銘柄には、エクソンモービル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アッヴィ、シェブロン、メルクなどが並ぶ。
同時点の指数の国別構成比率は米国が52.06%と過半を占め、日本5.78%、スイス5.62%、英国5.30%などが続く。業種別構成比率ではヘルスケアが18.98%、金融が18.16%、生活必需品が13.90%、エネルギーが11.20%となっている。一方、情報技術は5.69%にとどまり、幅広い世界株へ時価総額に応じて投資する一般的な「オールカントリー型インデックス」とは、銘柄や業種の構成が大きく異なる。
つまり、単純に今ある「オルカン」から配当を定期的に払い出す商品ではなく、世界株の中でも高配当という特徴を持つ企業へ重点的に投資する商品である。世界各国へ分散しながら、配当の持続性や財務品質も考慮した高配当株投資を行えることが、このファンドならではの強みになり得る。
配当払出型は、年4回、3月、6月、9月、12月の各14日に決算を行い、原則として経費等を差し引いた配当等収益の全額を分配する方針だ。初回の決算日は2026年12月14日を予定している。ただし、分配対象となる収益が少額の場合には分配を行わないことがあり、将来の分配金額が保証されているわけではない。
同じ愛称の別ファンドとして、分配を抑えて信託財産の成長を優先する「資産成長型」も用意されている。定期的な分配金を受け取りたい場合は配当払出型、複利効果を重視して中長期的な資産成長をめざす場合は資産成長型というように、運用目的に応じた選択肢がある。
購入時手数料と信託財産留保額はなく、運用管理費用(信託報酬)は年率0.165%以内(税込)だ。原則として為替ヘッジは行わない。NISAでは成長投資枠の対象となっている。
