沈んだ表情で帰ってきた娘
未来が帰ってきたのは3時を過ぎたころだった。啓子はソファでくつろいでいると、いきなり玄関の扉が開く音が聞こえた。
玄関に向かうと、視線を落とし、落ち込んだ様子の未来がいた。
「……どうしたの? 今日は早かったじゃない?」
しかし、未来は啓子の言葉を無視してリビングに入っていった。
お金がなくて遊べなかったという雰囲気ではない。それなら啓子に怒りをぶつけてくるはずだが、そんな様子はみじんもなかった。
リビングに向かうと、未来は何をするでもなく、啓子に背中を向けて立っていた。
「……何があったの? お母さんにちゃんと話しなさい」
するとリビングに吉枝も入ってきた。吉枝は未来が帰ってきたと知り、出迎えようとしたが、雰囲気を察して押し黙った。
「未来、何があったのよ?」
「……利香ちゃんとケンカした」
意外な言葉が返ってきた。
「……どうして?」
未来は言葉を震わせながら話した。
「みんなでお菓子を買おうってことになってコンビニに行ったの。でも私はお金がなかったから何も買わなかったの。そしたらレジで利香ちゃんから払うように言われて、私はお金ないから無理だよって言ったの……」
「利香ちゃんはなんて言ってた?」
「『毎回払ってくれてたのに、今日は無理ってどういうこと』って怒ってきたから、私も毎回お金出すなんて言ってないって言い返して……。そしたら利香ちゃんがもういいって言ってどっか行っちゃったんだ。それで私もムカついて帰ってきた……」
