相続するのが兄弟姉妹の場合、遺産を等分するのが原則だ。
だが、相続には「寄与分」と呼ばれる上乗せ制度があるため、他の相続人より多く相続する人が出てくることもある。この寄与分は、そう簡単には認められないのだが……。

今回ご紹介するのは、父親に投資信託の購入をすすめた結果、相続時に遺産が増えていたことを理由に、兄が「これは自分の寄与分だ」と主張した事例だ。

本事例にて寄与分の難しさについて感じていただきたい。

「俺のおかげだ」

まず登場人物の整理から始めよう。

今回登場するのは兄の潤貴さんと弟の裕規さん。

二人は父親の死後、遺産をどのように分けるかについて話し合うことになった。

彼らの母も相続人になるはずなのだが、「私はもう老い先短いし、お父さんの遺族年金があるから……」と、相続の意思がなかったため、実質的に兄弟二人だけの相続になったのだ。

父が残した遺産の額は約4000万円と、大きな金額だったが、普通に考えて、遺産は2分の1ずつ分けるのが当然だと思われた。

ところが、話し合いの場で潤貴さんが突然こう言い出した。

「父さんの財産がここまで増えたのは、俺のおかげだ」