インフレが機会に、リボ・分轄払いが増勢 貸倒費用は抑制的

ビジネス構造の違いは、インフレ耐性にもつながっています。インフレは、小売業には逆風となることが一般的ですが、丸井グループには収益機会です。

インフレは、ロシアとウクライナの紛争が発生した22年以降に本格化しました。この時期に連動するように、クレジットカードはリボ払いおよび分割払いが増加しています。指定信用情報機関のCICによると、包括クレジットの残債額は19年3月の5258億円から26年6月には8186億円へと、7年余りで55%以上も膨らみました。

注目したいのは、増加の加速ぶりです。22年3月までの3年間では6.2%増でしたが、26年6月までの3年間では30.1%増と、増加ペースは4.8倍以上に早まりました。インフレが家計を圧迫したことで、後払いを選好する人が増えていると考えられます。

包括クレジット残債額(2020年3月~2026年6月)
 
出所:CIC 割賦販売情報統計データより著者作成
 

同様の傾向は丸井グループにも見られます。リボ・分割手数料の売上総利益は、20年3月期の479億円から26年3月期には690億円へ43.9%増加しました。グループ外の加盟店手数料もほぼ同水準に伸びたことで、フィンテック全体の売上総利益も押し上げています。

丸井グループのフィンテック売上総利益の主な内訳(2020年3月期~2026年3月期)
 
出所:丸井グループ FACT BOOKより著者作成
 

一方で、注視しておきたいのが回収リスクです。家計の悪化が原因なら、その回収可能性も悪化することが想定されるためです。実際に、丸井グループの貸倒費用は20年3月期の162億円から、26年3月期には241億円へと増加しており、26年3月期には利息返還損失引当金として15億円を計上しました。

もっとも、フィンテック売上総利益に対する貸倒費用の比率は、20年3月期が12.5%、26年3月期が13.0%とほぼ横ばいです。収益の伸びに対し、回収リスクが急増しているわけではありません。

インフレが続く限り、後払い需要という追い風は丸井グループのフィンテック事業を下支えすると考えられます。回収リスクには注意が必要ですが、当面はさらなる成長が期待されるところです。