恐怖に背中を押され婚活を開始
「あなた、市場価値が分かっていないわね。30過ぎたら女は一気に大暴落よ」
あの時、結婚相談所の冷徹な仲介人に言われた言葉が今も耳の奥で響いている。
私の名前は麻衣、33歳。都内のIT企業で働くどこにでもいる会社員だ。年収は500万円。自立して食べていくには困らないが、贅沢ができるわけでもない。20代の頃はそれなりに恋愛もしてきた。けれど、32歳の誕生日を迎えた瞬間、急に周囲の視線が冷たくなった気がした。実家の母からは「早く安心させて」と電話が鳴り、SNSを開けば同期たちの「入籍しました」「家族が増えました」「マイホーム買いました」の報告が画面を埋め尽くす。
「置いていかれる」
その恐怖に背中を押されるようにして、私は入会金と初期費用で30万円、月会費2万円という安くはない金額を支払い、大手結婚相談所に駆け込んだ。
