品定めされる毎日、理想の型にハメられる息苦しさ
相談所のアドバイザーは、私を見るなり「まずは見た目から変えましょう」と言い放った。私が普段好んで着ているカジュアルなパンツスタイルは全否定され、淡いピンクやベージュのひざ丈ワンピース、パールのネックレスを推奨された。
「男性はね、こういう『おしとやかで、一歩引いてくれそうな女性』を選ぶのよ。自分の意見は出しすぎちゃダメ」
渡された「婚活マニュアル」には、男性を立てるさしすせそ(「流石です」「知らなかった」など)や、デートでの会計時の正しい「財布を出すフリ」の手順が細かく書かれていた。私はその型に自分を必死に押し込めた。
本当は経済や政治の話をするのが好きだし、仕事のキャリアについて語り合いたい。けれど、お見合いの席では「趣味は料理とヨガです」「お仕事、尊敬します」と、台本通りのセリフを笑顔で吐き出し続けた。
数カ月間で会った男性は20人以上になるだろうか。年収1200万の金融マン、年収3000万の経営者、手堅い公務員。しかし、彼らの目は一様に私という人間ではなく、「33歳、大卒、年収500万、家事手伝い可能か」という条件のラベルだけを見ていた。
ある男性には初対面で「子どもは何人産めますか? 親と同居は可能?」と尋ねられ、別の男性には「へえ、その歳まで独身だったってことは、何かしら性格に問題があるの?」と薄笑いを浮かべながら言われた。
心が摩耗していく。でもここで降りたら「負け組」になる。母をがっかりさせたくない。その一心で私は笑顔の仮面を貼り付け直した。
