129の生産拠点、53のR&D拠点という「分散した統合」の実態
エリオットが最も具体的に論じるのが、ダイキンの組織・生産体制の構造的課題である。
ダイキンは現在、世界129の生産拠点を有する。エリオットの分析では、テキサス州ウォーラー工場(4億5,000万ドル超の投資)の稼働率は約60~70%、ポーランドのヒートポンプ拠点の稼働率は約30~40%と、稼働率が低迷しているという。
また世界で53のR&D拠点を有するが、競合のキヤリアは39拠点、トレインは3拠点に集約されており、ダイキンの拠点数は突出している。
これらを踏まえ、エリオットは利益率改善の試算を以下のとおりに提示している。
ダイキン経営陣もこの課題認識を共有している面がある。2026年3月期第1四半期決算説明会(2025年8月)では「意識が売上高拡大に行き過ぎていたという反省があった。収益性の向上と資本効率の向上を意識した経営にシフトしていこうと考えている」と発言している。同第3月期四半期決算説明会(2026年2月)でも、「次期中計の中では利益率を上げていくのが最大の眼目」と述べている。
一方で、エリオットが示す改善シナリオの実現可能性や時間軸、達成難易度については、ダイキンからの公式な反論資料は本稿執筆時点では確認できない。

