なぜエリオット・マネジメントはダイキン工業を標的にしたのか

エリオットが着目したのは、ROE(自己資本利益率)の構造的な低下である。ダイキンのROEは過去8年間における15%以上から、2026年3月期には9.3%へと低下するとエリオットは見込んでいる。2026年5月12日に公表された2026年3月期のROE実績は9.1%。

この低下要因をエリオットは収益性、資産効率、財務レバレッジの3要素に分解し、企業の稼ぎ方の強みや課題を特定するデュポン分解で示している。

 
出所:エリオット提言資料、2026年3月期予想
 

資産回転率は同業他社とほぼ同水準にある。ROEの差異は主として利益率と財務レバレッジの2点に集約される、というのがエリオットの分析である。

ダイキンの売上高営業利益率は同業他社が約10%から15~16%へと改善する中、ダイキンは逆に10%以上から約8~9%へと低下し、自社が設定した2026年3月期目標(11%)さえ下回る状況にあるとエリオットは指摘する。

財務レバレッジの面では、ネットデット(純有利子負債)のEBITDA倍率がほぼゼロ(0.0倍)であるのに対し、同業他社平均は1.9倍程度を維持している。エリオットはこれを過剰資本と位置づけ、資本効率の改善余地と捉えている。

利益率の低下要因については、販管費が2019年3月期比で約2ポイント高く、同業他社対比でも約10ポイント高い水準にあること、また利益率低下の約3分の2が販管費の増加に起因すると指摘。さらにダイキンの設備投資は売上高比6.8%と、同業他社平均の約2~3%を大幅に上回り、それに見合った売上成長が実現できていないという分析も示している。