宇宙・防衛関連ファンドが再び注目を集めている。

防衛費拡大や地政学リスクの高まりを背景に関連銘柄が上昇し、宇宙・防衛をテーマとする投資信託やETFのパフォーマンスも堅調だ。国内株式市場でも、「高市関連銘柄」として防衛関連株が注目されたことは記憶に新しい。

もっとも、足元の上昇を単なる政策期待だけで説明するのは難しくなっている。実際、海外に目を向けてみても、宇宙・防衛関連企業は高い評価を受けている。そこには、防衛予算の増加だけではない、産業構造そのものの変化がある。むしろ注目したいのは、宇宙・防衛関連が一時的なテーマではなく、構造的な成長分野として認識され始めていることである。

宇宙・防衛関連ファンドの中身を見る前に、まずは産業そのものに何が起きているのかを整理しておこう。

防衛産業は「重工業」から「テクノロジー産業」へ

かつて防衛産業といえば、戦闘機や戦車、艦船などを製造する重工メーカーが中心だった。しかし現在、防衛分野の主役は大きく変わりつつある。

AIによる情報解析、衛星通信、サイバーセキュリティ、ドローン、自律制御システムなど、ソフトウェアやデータを活用する領域の重要性が急速に高まっているからだ。実際、近年の軍事衝突では、高価な兵器だけでなく比較的安価なドローンや衛星データが大きな役割を果たしている。戦場そのものがデジタル化していると言っても過言ではない。

その象徴的な存在が米パランティア・テクノロジーズである。同社はミサイルや戦闘機を製造しているわけではない。しかし、防衛・情報分野におけるデータ解析基盤として重要な役割を担っている。

防衛産業はもはや単なる軍需産業ではない。AIやソフトウェアを含む先端技術産業へと姿を変えつつあるのである。

宇宙は「夢」から通信、データ、防衛を含む巨大インフラに

宇宙関連についても同様のことが言える。2020年前後、宇宙関連株は「夢のある成長テーマ」として人気を集めた。しかし、その後の金利上昇局面では多くの宇宙関連企業が株価を大きく下げた。宇宙観光や衛星通信などの分野では、壮大な成長ストーリーが描かれていた一方、実際の収益化には時間がかかることが嫌気された格好だ。それでも宇宙というテーマ自体は消えなかった。理由は、その後、宇宙開発が夢の産業ではなく、社会インフラになったからだ。

GPSによる位置情報、気象観測、通信、物流管理、災害監視などの各種サービスは、人工衛星によって支えられている。さらに近年は、安全保障との関係も強まっている。衛星通信や地球観測データは、防衛分野でも重要な役割を果たしている。つまり、宇宙産業はロケット打ち上げビジネスだけではなく、通信、データ、防衛を含む巨大なエコシステムへと発展しているのである。

テーマが正しいことと、投資として成功することは別

もっとも、宇宙・防衛関連だからといって無条件に投資妙味があるわけではない。テーマ投資には特有の難しさがある。

実は、投資の世界では、「テーマは当たったが株価は上がらなかった」というケースが珍しくない。近年の例を挙げると、EV(電気自動車)、水素、メタバースなどがそうだった。市場が期待する未来が現実になったとしても、その期待が既に株価に織り込まれていれば、投資家が思うほどのリターンにはならない。

宇宙・防衛も似た側面がある。関連産業が成長することと、投資が成功することは必ずしも一致しない。だからこそ、漠然とテーマだけを見るのではなく、個別の投資信託がどのような企業に投資しているのかをきちんと確認したい。