価値観のズレが拡大

その日だけなら大して気にならなかったかもしれないが、似たようなことがその後も何度も続いていった。

ゴルフウェアやグローブを買えば「先月も買ってたよね」と言われたり、会社の後輩と飲みに行くと電話で告げれば「飲み会ばかりしてたらお金がなくなる」と注意をされた。

佑都にとってゴルフは趣味でもあるが、仕事上の付き合いも兼ねているものだった。絵梨香にもそのことは話したのだが、不必要にお金を使ってまですることじゃないと言われてしまった。

飲み会だって後輩や会社の仲間たちと親睦を深めるためのものだった。絵梨香は無駄なお金だと思っているようだったが、必要かつ大切な出費だ。

もちろん絵梨香が困らせようとして言っていないことは分かっていた。何よりもお金を大切に使おうという考え方自体には共感している。ただあまりにこちらに干渉をされるのも気持ちが良いものではない。

絵梨香が悪いと言うつもりはないが、それでも絵梨香との暮らしに不満が募っていった。それでも佑都は結婚とはそういうもので、細かいお金のやりくりなどを真剣に考えていかなければいけないのだと、なるべく絵梨香に合わせるように努力するように心がけた。コンビニで昼飯を買うのは控え、スーパーで安売りしていた総菜パンを買っておいたり、前の日の残り物をタッパーに詰めて持って行ったり、飲み会も断れるものは、なるべく断るように心がけた。

しかし――

「また?」

佑都が週末に友人とゴルフに行く話をすると、絵梨香が眉をひそめた。

「いや、またって……。友達と行くのは2ヶ月ぶりだって。ここ最近は全部、会社のコンペとか付き合いのゴルフだったから」

「でもプレー代も交通費もかかるんでしょ? ゴルフの後はいつもご飯にも行ってるし」

「それはそうだよ……。でも別に毎週ってわけじゃないんだし」

佑都はできるだけ穏やかな口調で返した。しかし絵梨香は全く納得してない。