同志となった母と娘

敦子が味方になってくれたことは、絵美にとって大きな支えになった。報告をし合った日から絵美と敦子は以前よりも頻繁に連絡を取り合い、離婚のことを話し合ったり、お互いを励まし合ったりした。2人はもはやただの母娘というより、同じ目標に向かって人生を立て直そうとしている同志のような関係ですらあった。

1人で離婚に向かっているのではないという事実に背中を押され、絵美は早速自分の思いを美咲に伝えることにした。

敦子と会った翌週、絵美は美咲を買い物に誘って2人だけの時間を作った。郊外のショッピングモールに入っている画材専門店で美咲がほしがっていた厚手のスケッチブックや水彩絵具と筆を購入し、昼はフードコートでお互いに好きなものを食べるなどして楽しいひとときを過ごした。

一通り買い物を終えたあと、帰りにドライブスルーで飲み物を買い、海沿いの公園の駐車場に車を止めた。美咲から飲み物を受け取り、軽く口につけた。そして軽く息を吐き出して、美咲に目を向けた。

「ちょっと美咲に大事な話があるの」

そう言うと美咲はストローから口を離した。

「離婚するの?」

「……え?」

美咲の反応に先手を取られ、絵美は呆気にとられた。

「だってお母さんが明らかにお父さんを避けてたり、会話をしてないの分かってたもん」

「……ごめんなさい。できれば夫婦のまま、あなたを育てたかったんだけど。でも私たちには問題があってね」

「……それはいいよ。無理して夫婦を続けられる方が嫌。私だって気まずいし」

それから美咲は心配そうな顔をこちらに向けた。

「……私たちは離ればなれになるの?」

「ううん、それは絶対にない。これからは私と2人で暮らすことになる。それだけは絶対に約束するから」

まだ親権についてどうなるかは決まってなかった。ただ美咲だけはどんなことがあっても手放さないと決めていた。