投資信託の良しあしを見定めるのは難しい。相場つきが悪くて短期的には成績が振るわなくても、長期で見れば優れた運用を行っている投信は存在する。逆に、波に乗って一時的に好成績を収めたものの、トレンド転換と共に一気に沈んでいく投信も少なくない。

本シリーズ「探せ! あなたの“推し”投信」では、長期投信投資家に人気の投資信託の強さの秘訣を探る。

今回取り上げるのは、フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・世界割安成長株投信」、愛称「テンバガー・ハンター」だ。世界中の企業から株価が10倍(テンバガー)以上に成長する可能性を秘めた「原石」の銘柄を発掘するという、ユニークなコンセプトを持つ。

為替ヘッジのあり・なしと、分配の頻度でA~Dのコースに分かれるが、最も残高の多い「Bコース(為替ヘッジなし)」を始め、投資家のニーズは高く、全コースを合わせれば1兆円ファンドとなる。

なぜ、そこまで支持されるのだろうか。その実力と注意点をひもといていきたい。

フィデリティの調査力で世界中からテンバガー銘柄を探し出す

「テンバガー・ハンター」は、日本を含む世界の株式の中から、企業の本来の価値に対して株価が割安に放置されており、かつ将来の成長が期待できる銘柄を厳選して投資するアクティブファンドだ。

最大の特徴は、運用哲学の根幹にある「割安(バリュー)」と「成長(グロース)」の両立にある。通常、投資の世界では「割安」と「成長」は相反する概念として扱われる。しかし本ファンドは、「構造的な変化や企業の変革期にあるにもかかわらず、市場の誤解や無関心によって一時的に割安に放置されている成長株」を主な投資対象としている。この「バリュー&グロース」という一見矛盾するような条件をクリアした銘柄を抽出し、将来のテンバガー候補を発掘するアプローチを採っている。

支持を集める理由は、徹底したボトムアップ・リサーチに基づくアクティブ運用である点だ。本ファンドは、フィデリティのグローバルな企業調査ネットワークを活用し、世界中のアナリストたちが年間約1万7000件以上の企業面談を行って銘柄を絞り込んでいる。

また、代表的な世界株のインデックスファンドがアップルやマイクロソフトといった誰もが知る巨大IT企業を上位に組み入れているのに対し、ポートフォリオには各国のニッチな分野のトップ企業も多く並ぶ。そのため、「S&P500」や「オールカントリー」との分散がはかれる点もメリットだ。

「年1回決算型」(Aコース、Bコース)は、NISAの「成長投資枠」の対象となっている。