「みんなもうちょっと分別してくれればいいのに……」

「みんなもうちょっと分別してくれればいいのに……」

つい、秀和はそう思ってしまった。秀和自身もゴミの分別などあまり気にしたことがなかったが、自分がゴミ処理に関わるようになり、自分の甘い考えを大いに反省することになった。

中には、同じゴミ袋の中に明らかに「可燃」「不燃」が混じっているものもあった。このままだとゴミ収集車は持っていってくれないので、秀和が袋を開けて分別するほかない。

時効は朝8時すぎ。9時半にはゴミ収集車が来るので、急がなければならなかった。

秀和がそんなゴミ袋の一つを開けると、中から悪臭が立ち上った。

「うえっ……」

腐った生ゴミが混じっていたようだ。強烈な悪臭が秀和の鼻をつく。心なしか目にも沁みるように感じる。

――営業の仕事なら、今でもNo1のつもりだが……。

自分は凄腕の営業マンだ、という自負が秀和にはあった。営業成績No1の表彰も数限りなく受けてきた。

長年務めただけあって、部品の業界には精通していた。顧客の予算感や本音を読むことにも長けており、調達を担う部署との人脈も持っている。

だが、今の仕事はマンションのゴミ掃除だ。

もちろん、退職後につける仕事の中では、比較的良い仕事だと納得した上で勤めている。

とはいえ、一人でゴミ捨て場の掃除をしていると、ふとむなしい気持ちに襲われることもあるのだった。