次に「同じ構造」の企業はどこか

今回の事例は「トヨタグループだけの話」ではない。同じ構造を持つ企業は日本市場に数多く存在する。

アクティビストが狙いやすい企業には共通した特徴がある。

•    PBR(株価純資産倍率)が1倍を割っている
•    大量の政策保有株を抱えている
•    ROE(自己資本利益率)が低い

東京証券取引所が2023年に株価純資産倍率(PBR)1倍割れ企業への改善要請を出して以降、こうした企業への外部からの圧力は強まっている。大量の政策保有株を抱えたままの企業は「含み益をいつ、どう株主に還元するのか」を問われる局面が増えている。

今回エリオットは、株主として積極的に関与することによってグループ内のTOBでも価格は動くことを示した。この結果が前例となったことで、今後は同様の構造を持つ企業に対して、より多くのアクティビストが同じ戦術で挑む可能性がある。

投資家として何を見るべきか

今回の豊田自動織機TOBが残した教訓を3点に絞ると、以下のとおりだ。

•    逆プレミアムは通らなかった
•    持ち合い解消は一社では終わらない
•    MOM条件の中身を見る

TOBや非公開化の発表に遭遇したとき、個人投資家が確認すべきポイントは3つだ。①保有資産の含み益がTOB価格に反映されているか、②MOM条件の「少数株主」の構成はどうなっているか、③アクティビストが具体的な代替プランを持っているか——この視点を持つことが、「価格が動くTOB」と「すんなり決着するTOB」を早期に見分けるヒントになる。

TOBの応募率は議決権ベースで63.60%と成立下限42.01%を大きく上回り、最終的には多くの株主がトヨタ陣営の条件を受け入れた。ただし、エリオットの介入がなければ最終価格が2万600円に達したかどうかは判断の分かれるところだろう。

PBR1倍割れのまま資産を抱えて上場し続けることは、いまや大きな経営リスクをはらんでいる。今回のプロセスが示した問いは豊田自動織機だけでなく、すべての上場企業に向けられている。