「少数株主を守る仕組み」が機能しなかった理由
今回、もう一つ重要な問題が浮かび上がった。「マジョリティ・オブ・マイノリティ(MOM)条件」をめぐるガバナンスの問題だ。
MOM条件とは、簡単に言えば「買収側以外の一般株主の過半数が賛成しなければTOBを成立させない」というルールだ。大株主だけで決めないための少数株主保護の仕組みで、経済産業省の指針や東証のルールも推奨している。
今回もこの条件は設定されていた。しかしエリオットはその「抜け穴」を突いた。
アイシン・デンソー・豊田通商というトヨタグループの関連会社が「一般株主(少数株主)」としてカウントされていたが、これらの会社はトヨタグループの一員であり、TOBに賛成する側だ。それが「独立した少数株主」とされ、その賛成票がMOM条件を満たすことにつながる。
エリオットの試算では、この構造のもとでは「本当に独立した株主」のうちわずか42%が応募すれば条件を満たせることになる。グループ企業を除外した真の意味での「独立株主の過半数」が応募しなくてもTOBは成立する。
エリオットはこう断言した。「このTOBが成立すれば、日本のコーポレートガバナンスにとって大きな後退だ」と※。
この指摘は海外の機関投資家にも広く共有され、「MOM条件の設計のあり方」は今後の日本型TOBにおける重要な論点として残った。
※出所:エリオット・マネジメント「株式会社豊田自動織機の株主の皆様へ」別紙6(2026年1月18日付)
