原油高で「避けるべき銘柄」の共通点

投資家がまず警戒すべきは、いわゆる「景気敏感株」や、コスト増を価格に転嫁しにくい企業です。

自動車、家電、家具といった耐久消費財は、物価高によって人々の買い控えが起きやすく、特にガソリンを直接消費する自動車は、今の時期に積極的に買おうという心理にはなりにくいでしょう。

また、化学素材メーカーも厳しい立場にあります。

原油由来の「ナフサ」を原料とするため、原料高がダイレクトに利益を圧迫します。

三菱ケミカルの株価が3月に入ってから軟調なのは、こうした背景を市場が読み取っているからです。

外食産業においても、スカイラークのように今のところ粘っている銘柄もありますが、原料高を価格に転嫁するまでのタイムラグの間、業績が一時的に悪化することは避けられません。

特に「お値段以上」というブランドポリシーを掲げるニトリなどは、コストが増大しても簡単には価格を上げられず、結果として利益が削られる構造にあります。

同社の株価が3月以降に下落し、PERが14.3倍程度まで下がってきたのは、次の決算で見えてくる厳しい見通しを投資家が警戒し始めた証拠と言えるでしょう。

JALとANAの燃料費感応度を徹底比較

原油高の影響を最もダイレクトに受けるのが航空業界です。

飛行機を飛ばすための燃料費は営業費用の約2割を占めており、原油価格の変動は死活問題となります。

国際線では燃油サーチャージによってある程度コストを転嫁できますが、価格変動を柔軟に反映しにくい国内線の比率が高いと、その分ダメージが蓄積します。

特に注目すべきはJAL(日本航空)とANA(全日本空輸)の違いです。

JALは中東を通る長距離路線の比率が相対的に高く、燃料コストの増大だけでなく、紛争地を回避するためのルート変更によるコスト増の影響も受けやすいと見られています。

ANA側の試算では、原油が1バレル1ドル上がるごとに年間で約2億円の純利益がマイナスになるとされています。

今期の予想純利益1,450億円に対して100億円程度の減益要因となり、一見小さく見えますが、これはサーチャージでの回収を前提とした数字です。

サーチャージによる回収前の数字で見れば、JALは月間で300億円もの利益が削られるという算出もあり、年間では経常利益を全て吹き飛ばしてしまうほどのインパクトになり得るのです。

中国路線の”棚ぼた”特需

航空株のチャートを見ると、2月に一時的に大きく上昇する場面がありました。

これには、中国との政治的な緊張関係から生じた奇妙な特需が関係しています。

中国政府が日本への旅行を事実上自粛するよう求めている影響で、中国の航空会社は日本への便を大幅に減らしています。

しかし、それでも日本に行きたいという中国人の需要は根強く、彼らは日本の航空会社、つまりJALやANAを利用するしか選択肢がなくなっているのです。

成田空港の運行状況を見ても、中国便の欠航が相次ぐ中で、日本の航空会社がその枠を代替して「漁夫の利」を得ている状況があります。

こうした「棚ぼた」の利益によって一時的に救われている面はありますが、その後の原油高の影響を考えると、現在の株価はやや楽観視されすぎているという印象を拭えません。