中東情勢の長期化にともない、燃料価格の高騰と、経済への影響が深刻化しつつあります。
特にガソリン価格が上昇すると、様々な商品のコストが上昇し、インフレにつながります。
最悪の場合、景気が悪いままインフレが進む「スタグフレーション」に陥る危険性も否定できません。
個人投資家はこういう場合どのように対応すべきでしょうか。つばめ投資顧問代表の栫井駿介さんが解説します。
※本記事は4/10につばめ投資顧問にて公開された「資源株・商社株は買い?原油高下の投資戦略と長期投資の銘柄選び」を編集の上、栫井氏による特別コメントを付して掲載しております。
原油高下の投資戦略を考える【特別コメント】
中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡の封鎖懸念などを受け、諸外国のように日本でも政府からガソリン使用制限や節電が呼びかけられるのではないか、と不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、エネルギー供給不安が経済や株価に与える影響と、現在の状況下で投資家が取るべきスタンスについて解説します。
過去の教訓を活かした「備蓄」と政府の冷静な対応
結論から言えば、現在の高市政権が直ちに厳しいエネルギー使用の節約を国民に強いる可能性は低いと考えられます。むしろ政府は、石油備蓄やナフサの供給に滞りがないことを積極的に発信し、経済活動を極力止めない姿勢を鮮明にしています。
日本はかつての石油危機(オイルショック)の教訓から、数ヶ月の供給停止にも耐えうる強固な備蓄体制を国内に整えてきました。現実問題として短期間で物理的なエネルギー不足に陥るリスクは低く、政府もこの潤沢な備蓄を背景に、経済への悪影響を最小限に食い止めようとしていることが窺えます。
経済は「気持ち」で動く。自粛ムードの回避が鍵
投資家がここで理解しておくべきなのは、「経済は人々の心理で大きく動く」という側面です。記事の本編でも触れたような、物価高と景気停滞が同時に進行する「スタグフレーション」を回避するためには、人々の消費心理を冷え込ませないことが極めて重要になります。
例えば、東日本大震災の直後に日本全体を覆った過度な「自粛ムード」は、結果として消費を著しく抑制し、景気を大きく下押ししてしまいました。政府があえて供給の安定をアピールするのは、こうした心理的な悪循環を防ぎ、正常な経済活動を維持するための重要なマクロ経済政策だと言えます。
混乱期こそ優良銘柄を仕込む好機に
もちろん、ホルムズ海峡の封鎖が長期化し、原油供給の停滞が続けば予断は許されません。また、日本国内のエネルギー問題だけでなく、グローバルサプライチェーン全体が機能不全に陥れば、あらゆる物資が不足してくるリスクも潜んでいます。
しかし株式投資においては、かつての歴史が証明しているように、このような混乱期こそが重要な局面となります。一時的なパニックから市場全体が大きく下落したとしても、社会の経済活動を回す上で不可欠な企業の価値までが失われるわけではありません。そうした優良企業の株価が不当に売り込まれた時こそ、中長期的な視点で安く仕込む絶好の機会となるのです。
まとめ
今後の不透明な環境下では、サプライチェーンの混乱やインフレという「ネガティブな側面」を警戒しつつ、パニック売りによって生じる割安な株価という「ポジティブな投資機会」にも目を向ける必要があります。悲観論に傾きすぎず、この両面を冷静に見極めて行動することが、投資家にとって非常に重要となるでしょう。
